高齢者介護の県内における現状について
現在(R8.2.10~3.27)開会中の県議会予算委員会において、高齢者介護、特にケアマネジャーをめぐる課題が重要なテーマとして取り上げられました。議論の背景にあるのは、物価高の影響と、慢性的な人手不足という二つの現実です。介護現場は、電気代や燃料費、消耗品などの価格上昇に直面しながら、サービスを止めることができないという厳しい状況に置かれています。

今回の議論をNotebookLMに読み込んでもらい、インフォグラフィックを作成しました。
まず県が示したのは、物価高対策としての事業所支援です。国の支援パッケージを活用し、介護事業所に対して給付金方式で経費を支援する仕組みを導入します。従来の補助金方式では申請手続きが煩雑で、現場の事務負担が課題でしたが、今回は手続きを簡素化し、速やかに資金が届く形に改めると説明されました。狙いは明確で、まずはサービスを継続させることです。経営が不安定になれば、利用者の生活そのものに影響が及びます。短期的には、現場の資金繰りを支える措置として一定の意味があります。
しかし、議論はそこにとどまりませんでした。より構造的な課題として指摘されたのが、介護職員やケアマネジャーの処遇水準と人材確保の問題です。県内介護職員の平均月額は約24万9千円とされ、全産業平均との間には約3万3千円の差があります。介護分野で働く人は約2万1千人にのぼりますが、賃金水準や労働環境を理由に人材が定着しにくい現状があります。
特に深刻なのがケアマネジャーです。資格保有者は約3千人いる一方で、実際に従事しているのは約2千人程度にとどまります。担当件数の多さに加え、家族対応や書類作成などの事務作業が重くのしかかり、本来の専門業務に十分な時間を割けないという声もあります。いわゆるシャドーワークというものです。処遇改善加算の対象から外れがちな点も、職業としての魅力を弱めている要因と指摘されました。
こうした状況を踏まえ、業務効率化策が必要だと施策の推進がなされています。その中心が、ケアプランデータ連携システムの導入促進です。これは、ケアマネ事業所と介護サービス事業所との間で、紙やファクスに頼らずデータを共有できる仕組みです。事務作業を減らし、業務の効率化を図ることで負担軽減につなげる狙いがあります。ただし、県内での利用は106事業所にとどまり、全国でも下位水準と説明されました。県はモデル地域を設定し、導入支援や操作支援を進めるとしていますが、委員からは「ICT導入だけで人材不足が解消するのか」「処遇改善に直結するのか」といった慎重な意見も出されました。
さらに、事務職員の臨時採用への補助や、経営改善のための専門家派遣、研修費の支援なども盛り込まれています。全体としては、業務効率化を通じて負担を軽くし、離職を防ぐという設計です。短期的な物価高対策、中期的な業務効率化策という二段構えの構造が見えてきます。
一方で、長期的な視点での人材確保戦略は、なお課題を残しています。報酬水準の引き上げは、基本的に国の介護報酬改定に依存する部分が大きく、県単独での大幅な賃上げは制度上の制約があります。しかし、沖縄は離島を多く抱える地域です。都市部と同じ人材確保モデルで本当に持続可能なのかという問いは避けて通れません。離島でのケアマネ不足は特に深刻であり、地域特性に応じた支援策の検討が求められます。
今回の予算委員会での議論は、単なる補正予算の審査にとどまらず、沖縄の介護の将来像をどう描くのかという問いにつながるものでした。目の前の物価高に対応しながら、同時に人材の確保と育成、専門職としての評価の向上をどう進めるのか。今後は、導入支援の成果や普及状況、離職率の変化などを丁寧に検証し、必要に応じて見直していく姿勢が重要になります。
高齢化は確実に進みます。介護は、家族だけで支えきれるものではありません。制度と現場の両面から支える仕組みをどう築くのか。今回の議論は、その出発点として重い意味を持っています。
