沖縄県は貯金がないんですか!?

沖縄県の「貯金」97%減 コロナ影響で229億円(2019年度末)→5.6億円(2021年度末)

という衝撃的な見出しが今朝(令和3年6月11日)の琉球新報のトップ記事に上がっていました。

相次ぐ新型コロナウイルス対策によって、県の貯金に当たる「財政調整基金」の残高が激減し、2021年度末は感染症の影響がなかった19年度末比で、約223億4千万円(97・6%)減の約5億6千万円になると見込まれていることが10日、県財政課への取材で分かった。年度末の残高が10億円を下回るのは1975年以来で、46年ぶりとなる。わずか1年数カ月で200億円以上を取り崩すことになり、機動的な財政需要への対応に懸念も上がっている。(琉球新報令和3年6月11日朝刊1面)

とのことです。

図は沖縄県のウエブサイトから抜粋(沖縄県財政の推移)

財政調整基金とは記事にもある通り、いわゆる地方自治体の貯金と言えるものです。自治体(都道府県や市町村)における年度、年度の財源の不均衡(ある年度は余剰がでて、翌年度は足りないなど)を調整するための積立金です。 財源に余裕のある年度に積み立てを行い、大規模災害の発生や大幅な税収減などがある年度に取り崩しを行います。

※減災基金は県債(借金)を返済するための積立・県有施設整備基金は言葉の通り、県の施設を整備するための積立

今回の新型コロナウイルス感染拡大においても、大規模災害と同義のことになりますので、様々な手当をするために財政調整基金を取り崩して一般財源に組み込んで使うことになりました。

今月6月15日開会の沖縄県議会6月定例議会において、およそ300億円の補正予算を組むことが諮られます。今年に入って9回目の補正です。

うち5回は専決処分、急ぎの案件のため議会招集が間に合わないということで、議会に諮らずに執行をしました。後の議会で承認を得ることになります。もちろん緊急であるということは理解しておりますが、この点においても我々は議会としてしっかりと議論しなければならないと思っております。

沖縄県の当初予算が約8000億円です。国からの追加の臨時交付金を合わせて1800億円あまりの補正と、予算1兆円が目の前になっております。令和2年度は16次の補正を組んでおりますので、この先もさらなる補正がなされるはずです。

しかし昨年のコロナ騒動が始まって以来、3600億円の追加予算を投入している割には、十分な検査体制や医療体制が整えられていないということも議会で何度も取り沙汰されています。

また、経済面では観光の影響力の大きさは人の流れが止まったことで改めてわかったと思います。関連産業にも支援をするべきですが、十分な配慮がなされていません。

これから先のワクチンの接種が進み、心理的な移動の制限が解除されたあとにはすぐに他の地域と観光の誘客競争が始まると言われています。

※アメリカでもすでに航空機移動の需要が高まっているとのことです。(WSJ令和3年5月14日)

県経済の回復のために先手を打った対応をする必要があります。どのような考えを持って臨んでいくのか?その点についてはしっかりと議会の質問に入れ込んでいきますが、この財政調整基金の枯渇という大きな課題も関わっていくであろうと思われます。

参考:沖縄県の予算について入門的なサイト沖縄県の財政2021

令和3年6月11日