海外への「バラマキ」は必要なの?

今日はODA(政府開発援助)について書いてみます。

ODAとは何か:「開発途上国の社会・経済の開発を支援するため、政府をはじめ、国際機関、NGO、民間企業などさまざまな組織や団体が経済協力を行っています。これらの経済協力のうち、政府が開発途上国に行う資金や技術の協力を政府開発援助(Official Development Assistance:ODA)といいます」(JICA(ジャイカ)のODA見える化サイトから)

よく、海外へ何千億円、何兆円の投資を政府が約束したという報道がなされますが、その時に「無駄遣いだ!」「国内の人にお金を使うべきだ!」と言われます。

果たして本当に無駄遣いなのでしょうか?それは余りにも近視眼的な見方ではないかと思います。

何故ならODAは日本が外交力を発揮する上で最も有用な手段であると言われています。仮にODAの金額を削れば、日本の国際社会での立場は今より厳しくなるはずです。

カンボジアへの支援を例として挙げてみます。上のグラフは日中のカンボジアへの支出額ベースの援助実施額(100万USD)です。すでに日本より中国が大きいものになっています。(JETRO地域分析レポート・日本と中国の援助から見るカンボジアより)2010年からは中国の方がはるかに上回っています。

しかし、中国の対外援助戦略は三位一体モデルとも呼ばれ、援助が投資や貿易と密接に結びついている。中国援助はタイド、つまり自国の財やサービスの購入と援助が結びついている事例がほとんどで、中国の援助で建設されるインフラ設備は中国企業または中国企業と現地企業の合弁会社が請け負い、労働者も含め資機材、設備、技術、サービスなどの50%以上が中国から調達されている

(中略)

増加する中国援助に反比例して、欧米ドナーの存在感は薄まりつつある。カンボジア政府の「開発協力とパートナーシップ報告書」によると、2007年から2014年のドナー地域別の援助額比率で、中国は11.9%から23.8%と大きく拡大する一方で、欧米ドナーは27.2%から20.9%と縮小している。

これに呼応する様に、カンボジアの欧米に対する外交戦略は強気な姿勢が目立つようになった(JETRO地域分析レポートから)

ただでさえ、このような状況にありますので、これがさらに縮小した際にはカンボジアの政府は中国寄りになってしまうことはあきらかであると思いますので、それを防ぐためにもODAなどによる海外への開発支援予算というのは大切なものではないでしょうか。

中国の海外支援の状況と同様に、日本のODAの多くはその国のインフラ開発に使われ(近年は円借款事業の約65%を建設・電気・運輸会社や商社など日本企業が受注しているようです。これは、例年、総額4000億円程度の円借款に、日本の技術を活用するという条件(STEP)を付していることが影響)、日系企業が受注しています。これらは日系企業の売上にも繋がり、単に海外にお金をばらまいているわけではありません。日本政府が資金援助し、日系企業にお金が回り、現地のインフラが整うという図式になっています。近年ではフィリピンの首都圏地下鉄整備があげられます。

その、日本の技術力を発揮できるインフラ整備、教育・保険などの社会的なものも含め、ハード面だけでなく、その活用という点での人材育成も取り組みがなされています。作って終わり、ではなくその後のこと国・地域の自立ということを考えた時には重要ではないかと思います。ボリュームもありますが、開発協力白書2022日本の国際協力に詳しく書かれておりますのでご覧いただきたいと思います。

よく海外支援は「バラマキ」と言われますが、多くは円借款(日経ビジネス:注目の「円借款」を1分で説明できますか)です。これは端的に説明すれば低金利で貸し付けるお金のことです。投資して返ってくるものであり、あげるものではありません。

日本が円借款を伝統的に重視してきたことについて、外務省は「援助を一方的に与えるのでなく、途上国が融資資金をインフラ(社会基盤)整備などに使って、自身の事業として取り組む意識を高めることが重要だからだ」とその意義を説明する。

 途上国の「自助努力」を支援するという考え方は、日本のODAにとって一つの理念でもある。日本自身が第2次大戦後の復興で、世界銀行などの融資を受けてインフラを整備し、それを基に高い経済成長を遂げてきたという“成功体験”にも基づいている。(参考:読売新聞2023.06.20ODA外交の舞台裏を見る)

ちなみに、中国にもODAとして、無償でお金を提供する「無償資金協力」約1600億円、「円借款」約3兆3千億円、「技術支援」約1900億円で、計3兆6千億円余りを支援してきましたが、中国が急速に経済発展を遂げ、他の途上国に戦略的な支援を行うようになった事から。2022年3月末で40年にわたるODAを終了しました。ODAの協力はあまり、中国の国民には知られていないようですが・・・

なお、その円借款はその返済金も原資として再貸付をしていることもありますので、少し古い記事ですが、日経新聞2014.1.19:円借款、返済金が主財源 アジアから8割超 供与先、中東・アフリカへをご紹介しておきます。

なので、出資先が発展していかなければ取りっぱぐれる可能性もありますので、自助努力を促し自立に向けての人材や技術力の育成などの支援も必要なのです。

外務省のサイト日本全国 各地発!中小企業のODA、日本各地の中小企業がODAにどのように参加しているかを取り上げたページから沖縄県の企業の部分です。各都道府県のサイトがありますので、ぜひ参考までに見ていただければと思います。

日本はエネルギー自給率11%、食料自給率38%と海外に頼らざるを得ない状況で、加えて今後の人口減少に伴う人材不足ということも考えた際には勢いのあるアジアを含め世界中に頼るべきところもでてまいります。そのためにもODA含めた海外支援というものは必要であると思われます。

とはいえ、国内でも厳しい生活をする声が聞こえる中で、この案件に対しては丁寧な説明をする必要があり、加えて国民に対しての支援もしっかりと行うことも求められますので、私も皆様にお伝えすると同時に生活面の向上を県連や所属国会議員を通して自民党本部や政府に対して意見してまいりますので、今後もご支援とご意見をお願いします。

スポーツを核にしたまちづくり

 令和5年4月末(今ごろ上げるんか 汗)に県議会の会派での視察として北海道は北広島市にあるエスコンフィールドへ行ってきました。非常に素晴らしい球場でした。

日本ハムファイターズの本拠地は、これまでの札幌ドームから今年になってこの球場になりました。今年は多くのニュースで取り上げられていたので、ご存知の方も多いかと思います。 私の周りでも経済界の方々や、地方議員、行政の職員も視察へと行っています。

夜はゲームを観戦しましたが、きつねダンスなどネット上でも盛り上がっていますが、現地で応援している皆さんも非常に盛り上がっていまして、面白い場ができています。

観戦に先立って、運営会社の方に球場を一通り案内いただき、ご説明いただきま  した。中には年間3000~4000万円の部屋があり、そこも道内の企業が福利厚生や接待での利用ですでに埋まっているそうで、同じく年間180万円の特別シートも完売というお話を伺いました。

さらに周辺には北海道ボールパークFビレッジということで、農機具のクボタの「KUBOTA AGRI FRONT」という“食と農業”の魅力・可能性を、楽しくおいしく学ぶ農業学習施設、“食と農業”の未来を志向する仲間づくりの場をコンセプトとした施設がオープンし、グランピング施設や、ショッピングモール、球場内を中心にフランチャイズの店舗や非常に美味しいと言われる有名な飲食店も様々に非常に多く設置されており、試合の時でなくとも楽しめるようになっていました。さらに周辺にあるマンションの1億円を超える部屋も完売という話もありました。

子育て環境も整ってきており、認定こども園も周囲に整備されていました。球場を中心にしたまちづくりがなされてきています。ここまで一気に整備がなされるとにさすが広い土地を持つ北海道ならではのまちづくりだと感じさせられます。

沖縄県でも沖縄市の沖縄アリーナが全国的に注目されてきています。これまでは宿泊施設がなく、試合を見たら北谷や那覇の宿に帰る方がほとんどで、交通渋滞も課題となっていました。しかし、今後は呉屋十字路やパークアベニューの付近にバスターミナルができ、そこから放射線状にバスが出入りするようになります。ホテルも現在建設されていますので、今後は試合が終わってから飲食店などに人が流れていくことも考えられます。今年のFIBAワールドカップの開催もありましたので、これまで以上にアリーナを中心として活発化していくのではないでしょうか。

那覇市でも奥武山公園周辺の整備などが今後計画されていくかと思いますので、 スポーツ施設を中心としたまちづくりというものは非常に面白いと考えられます。しかし前述の沖縄市の事例もありますので、しっかりとした交通導線を考えておかねば渋滞がただでさえ酷い那覇ですから、より深刻な問題となってしまい、不評を買ってしまうことで逆効果になる恐れがあります。たんに人を集めるだけが活性化ではありませんので、全国、全世界のまちづくりを視察・勉強し、その 事例を参考に提案をしていきたいと思います。

特別措置法(復帰特別措置法・沖縄振興特別措置法)

沖縄県には2つの特別措置法があります。

沖縄県の復帰に伴う特別措置に関する法律(いわゆる復帰特措法)と、沖縄振興特別措置法(振興特措法)です。

5月15日、1972年に沖縄県が敗戦後27年間の米国施政下を経て日本に復帰を果 たした際に法律や制度などが大きく変わると生活支障が出るということで激変緩和措置を趣旨として復帰特措法が制定されました。

第一条 この法律は、沖縄の復帰に伴い、本邦の諸制度の沖縄県の区域における円滑な実施を図るために必要な特別措置を定めるものとする。

とあります。非常に幅広く、我々の生活において関わる多くの事案がこの法律には記載されています。

それから52年目を迎えます。沖縄県は道路、港湾、水道、住宅、医療などの生活インフラの整備の本土との格差や大型の製造業が育たなかったことも含め、戦後の日本の復興期とは流れの異なる時間を過ごしています。

その後、第1~3次の沖縄開発振興計画は本土との格差是正を主として、第4~5次の沖縄振興計画は民間主導の自立型経済の構築を目標として社会資本整備がなされ、現在は第6次です。これが最後の振興計画であるとも言われています。その根拠法となるのが沖縄振興特別措置法です。

第4次までは沖縄開発庁や内閣府などの中央省庁を中心に計画が立てらてていましたが、第5次以降は沖縄県の自主性を重んじて国と協議しながら県が計画を作り定めていく方針となっています。その基礎となるものは仲井眞県政時代に定められた21世紀ビジョンと根拠法として、本土で施行されている地域振興立法を参考にし、制定されています。

1〜6次の流れは国立公文書館1〜6次の流れは国立公文書館(〔コラム〕公文書等から見る沖縄振興(開発)計画~国立公文書館所蔵資料を中心に~)をご覧になるとわかりやすいです。

復帰特措法による税制には以前にこのブログでも触れた酒税減税、他にガソリンにかかる揮発油税の軽減などがあります。(※現在(R5.12.03)において揮発油税の軽減措置1Lあたり7円をどのようにするのか?ということが国会でも議論となっています。)

また、現在の沖縄振興特措法には沖縄公庫の設置や沖縄振興交付金(いわゆる一括交付金)、自由貿易地域や金融などの産業を活性化させるための特別区の制定、インフ ラの県民負担軽減を目的とした電気の供給に関わる課税や中小企業の振興など含めた減税措置があります。

この2つの特措法に加えて沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法(駐留軍用地の跡地利用法)もあります(跡地利用法についてはまたの機会で)

このように沖縄県復帰から様々な振興策を50年余取り組んでまいりましたが、なかなか平均所得が最下位から脱却することができません。今後の県の発展を考えた際には、もちろん観光業など現在の基幹産業と言える業界をしっかりと支援して強化しベースとすることは必要です。

加えて私もこれまで何度も議会で取り上げていますが、海洋資源の研究開発を国と力を合わせ、方針をつくり、OISTなどの研究機関との連携で充実させて、県内の産業として育成することは非常に重要だと思います。他にもOISTとの連携という点では、薬剤師会から強く要望の上がっている県内への大学薬学部設置から創薬にもつながるものになるのではないかという期待もあります。また、県内の経済循環率を高め、食糧自給率を上げていくことも必要となってきます。稼げる漁業や稼げる農業も重要です。このように産業の創出や教育機関を設置し、教育力を上げることなど、沖縄県にはやるべきことが山ほどあるのが現状です。

加えて、沖縄県内の米軍専用施設についても整理統合は進んできていますが、まだまだ負担は非常に大きいといえますので、今後も基地負担の低減についてはしっかりと国とも協議して進めて行かねばならないと思います。国政与党の自民党に所属する県議会議員だからこそできることもあります。

そのためには皆様からの声とお力が必要ですので、今後もご意見、お力添えをお願いいたします。

沖縄県の復帰50周年特設サイトから

北方領土を知っていますか?領土問題について

原稿を書き溜めて入るもののなかなかBlogへの投稿できておらず5ヶ月ぶりの投稿となりました(汗)

沖縄県では領土領海の話をするとよく話題に挙がるのが「尖閣諸島」についてです。尖閣諸島が領土編入された翌1896年(明治29年)にはアホウドリの羽毛採取事業と開拓がなされ、その後には鰹節工場もあったようです。現在はしばしば中国の海警局の船が排他的経済水域や領海を侵犯してくると報道がなされています。詳しくは内閣府の尖閣諸島研究・解説サイトをご覧になってみてください。

一方、沖縄県内では報道などではあまり触れられることのない「北方領土」(外務省北方領土問題とは?)ですが、北海道での視察の際に、行くところどころで目にしました。北方4島とは北から択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島のことです。ちなみに日本で1番大きな島は択捉島、次が国後島、そして沖縄本島、佐渡島と続きます。歯舞群島を行政区として所管する根室市では納沙布岬から貝殻島までの距離は3.7Kmと非常に近い場所にあります。ちなみに泊港から慶良間の渡嘉敷島まではおよそ30Kmです。

4島合計で3,124世帯、合計17,291人の方々が1945年に日ソ中立条約を破り、ポツダム宣言受諾後、日本が敗戦を明確にした後に侵略を続けてきたソ連により強制的に退去させられたとなっています。

日本は1951年のサンフランシスコ平和条約でも千島列島と樺太南部は放棄しましたが、放棄した中に北方4島は含まれていません。現在も北方4島ではロシアによる不法占拠が続いている状況です。この領土問題が存在するため、戦後70年以上経った今なお、日本とロシアの間では平和条約が締結されないままとなっています。

なお、ポツダム宣言(内閣府ポツダム宣言)はその前のカイロ宣言(内閣府カイロ宣言)の領土不拡大の原則を引き継いでいるため、国際法上不法占拠であるということで、日本は返還するように求めています。この流れは内閣官房 領土問題の発生をご覧ください。島民1世は すでに平均年齢が80代ということで急がれるものです。

北方4島の周辺は漁獲が豊富な漁場となっているために、毎年ロシアとの漁業交渉がなされています。ちょうど私が北海道に入った直前の4月21日には貝殻島の周辺での昆布漁が妥結し、翌日には大きく報道されていました(貝殻島周辺における2023年の昆布採取に関する民間交渉の結果 について 根室市)が、この報道内容も沖縄県ではなかなか知らされることはありません。

 しかし、我が国固有の領土である北方4島の周辺での漁業をするために、なぜロシアとの交渉が必要なのか?第1管区海上保安本部でお話を伺いましたが、それはロシアが不法な実行支配を続けているため、漁民が周辺での漁をした際には拿捕して船員を逮捕する、船を没収する、などの恐れがあり、致し方ない状況であるようです。

北方4島で2020年では18,000人が住むと言われています(北方領土の位置・面積・人口 北方領土問題対策協会)その中で135万人が住む沖縄本島と同じくらいの大きさの国後島には8,600人程度のロシア人が住んでいると記述されていました。一非常に広大な土地ですので、返ってくることで領土、領海、排他的経済水域と非常に日本の漁業や農業に関して大きな効果がるといえるのではないでしょうか。

日本には他に島根県の竹島(外務省 日本の領土をめぐる情勢)において韓国との領土問題があると言われています。ちなみに沖縄県の尖閣諸島(外務省 日本領土をめぐる情勢)は日本固有の領土であるということで領土問題は「ない」ということになっています。

北朝鮮の拉致問題のシンボルマークとして市民権を得ているブルーリボンと同じ形の色違いのバッジです。色は北方四島の「土地」の色であるベージュがかったブラウン(土色)です。リボンバッジ(アウェアネスリボン ウィキペディアより)には様々な色がありますので、この土色の意味合いも覚えていただければ幸いです。

自由で開かれたインド太平洋 FOIP(Free and Open Indo-Pacific)

月に一度、お昼時間を活用して、支援いただいている方々と一緒に勉強会を開催しています。私が政策として掲げていることや、その時々のトピックスを中心として講師をお招きしていますが、会員からの講話をしていただくこともあります。これまで気が付かなかった新しい話題との出会いや、新たな視点と学びを得る非常に充実した時間です。

その勉強会に外務省沖縄事務所から講師をお招きし「自由で開かれたインド太平洋」について沖縄の地政学的なことも踏まえてお話いただきました。

FOIP(Free and Open Indo-Pacific)外務省サイト経済産業省サイト

この外交戦略は当時の第二次安倍内閣から日本発で概念・理念が広がり、アジア諸国、アメリカ、オーストラリアなど当該地域だけでなく、ヨーロッパの国々からも賛同を得るようになりました。

防衛省サイトより

上の図でインド洋・太平洋を合わせるとアフリカからアジアを経て日本、そして北米・南米と非常に大きなエリアとなっていますが、まさに沖縄は要石のポジションです。

「2016年8月にケニアで開いたアフリカ開発会議(TICAD)で安倍晋三首相が打ち出した外交戦略。成長著しいアジアと潜在力の高いアフリカを重要地域と位置づけ、2つをインド洋と太平洋でつないだ地域全体の経済成長をめざす。自由貿易やインフラ投資を推進し、経済圏の拡大を進める。安全保障面での協力も狙いの一つ。法の支配に基づく海洋の自由を訴え、南シナ海で軍事拠点化を進める中国をけん制する。」と、2017年10月26日の日本経済新聞の解説には記載されていたようです(検索で見つからず)。(笹川平和財団:外務省HPから読み解く「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」の理念と実践 参照)

沖縄県においても台湾有事という言葉も普段から耳にするようになってきていります。また、琉球国時代においても東はタイ国付近まで貿易行っていたこともあり、その先のアフリカあたりの文化や財も経由して入ってきていたことを考えると、地域安定を考え、このFOIPの流れを上手く活用する必要があるのではないでしょうか。

自由で開かれたインド太平洋の実現のための三本柱として以下が外務省のサイトには明記されています。

1 法の支配,航行の自由,自由貿易等の普及・定着

2 経済的繁栄の追求(連結性,EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)

3 平和と安定の確保(海上法執行能力の構築,人道支援・災害救援等)

決して争うものでなく、国際法を守り、平和で自由、そして平等な移動や商売を協力して行うようにするべきものであると言うことです。

私が議会でも幾度も取り上げている「海洋資源」についても、まだ国際法が定まっていない部分も多くあります。なので利権を争うのではなく、その法を定めると同時に、前述のように東アジアでは軍事的な緊張がある中で、中国や韓国、北朝鮮などとの連携をしていくことが平和の近道であると考えられますが、そのベースとして理念、考えを共有することができれば良いのではないかと思います。

安倍氏銃撃1年 岸田外交、FOIPを継承・発展へ(産経新聞2023/7/2)

本日(7月2日付け)の産経新聞にもFOIPを基礎として米国に頼るだけでない日本が主体的に地域の安保に貢献し、新たなパワーバランスを創出するための岸田政権の韓国・北朝鮮・インド・オーストラリア・台湾に対する外交政策についての掲載がなされていました。

沖縄県では中国の南シナ海の軍事拠点化を牽制するという部分に沖縄県に対しての抑止力としての自衛隊配備などを連想させるためか、なかなか取り上げられることの少ない事案です。「抑止力」と「外交」という2本の柱でしっかりと周辺国との関係性を良くすることが地域の平和と安全につながるものであります。

皆様もこのFOIPの行き先について興味を持っていただければと思います。

北の国から その2(知床世界遺産)

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は、2021年7月に世界自然遺産になりました。

推薦地は、中琉球の奄美大島、徳之島、沖縄島北部と、南琉球の西表島の4地域の5構成要素で構成され、面積42,698haの陸域である。中琉球及び南琉球は日本列島の南端部に位置する琉球列島の一部の島々であり、推薦地は黒潮と亜熱帯性高気圧の影響を受け、温暖・多湿な亜熱帯性気候を呈し、主に常緑広葉樹多雨林に覆われている。

推薦地は、世界の生物多様性ホットスポットの一つである日本の中でも生物多様性が突出して高い地域である中琉球・南琉球を最も代表する区域である。推薦地には多くの分類群において多くの種が生息する。また、絶滅危惧種や中琉球・南琉球の固有種が多く、それらの種の割合も高い。さらに、さまざまな固有種の進化の例が見られ、特に、遺存固有種及び/または独特な進化を遂げた種の例が多く存在する。

これらの推薦地の生物多様性の特徴はすべて相互に関連しており、中琉球及び南琉球が大陸島として形成された地史の結果として生じてきた。分断と孤立の長い歴史を反映し、陸域生物はさまざまな進化の過程を経て、海峡を容易に越えられない非飛翔性の陸生脊椎動物群や植物で固有種の事例が多くみられるような、独特の生物相となった。また、中琉球と南琉球では種分化や固有化のパターンが異なっている。

このように推薦地は、多くの固有種や絶滅危惧種を含む独特な陸域生物にとって、全体として世界的にかけがえのなさが高い地域であり、独特で豊かな中琉球及び南琉球の生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息・生育地を包含した地域である。

環境省サイト奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 遺産地域の特徴から)

一足先2005年に世界自然遺産登録がなされた知床は世界自然遺産の管理をどのようにしているのか?実際に斜里町と羅臼町にまたがる知床地域の管理や研究をしている知床財団の事務局長からお話を伺い、実際に知床5湖の周辺をフィールドワークとして巡ってきました。

フィールドワーク途中で発見した熊の足跡です。

この財団は施設の管理、オーバーツーリズム(オーバーユーズ)の規制、利用者に対しての教育、子どもたちをはじめとする知床や野生動物情報の周知、生態の研究などなど、行う業務は幅広く奥深く、住民や商業者との調整なども行っているようです。

知床が抱える課題~利用者の集中

知床は2005年に世界自然遺産に登録され、年間約170万人の観光客が訪れる国立公園です。

一大景勝地として知られる「知床五湖」には毎年観光客が集中します。
特に5月の大型連休や8月のお盆休みの時期には駐車場に入るための車が列をなし、ピーク時にはその渋滞の長さが1キロに及ぶこともあります。

知床が抱える課題~ヒグマと人とのあつれき

知床は世界の中でも高密度にヒグマが生息している地域です。そのため、国立公園内のドライブ中にヒグマを見かけるといった状況は決して珍しいことではありません。「ヒグマを見かけても車から降りない、近づかない」が知床国立公園のルールですが、実際はヒグマを一目見たいと車から降りたり、撮影したくて立ち止まる人だかりができ、道路が路上駐車の車で溢れるといった状況が起きています。中には過剰にヒグマに接近して撮影する観光客もいます。この「クマ渋滞」は他の車の通行の妨げになるほか、人身事故の引き金にもなりかねません。

新たな取り組み~移動を、サービスに

利用の集中による渋滞、ヒグマとのあつれきの問題を解消するために2020年から始まった社会実験が「知床バスデイズ」です。10月の3日間、知床自然センターからカムイワッカ湯の滝までの区間をシャトルバスのみでつなぎ、適正なアクセスコントロールを行いつつも、移動そのものを楽しめるサービスを目指しました。マイカー規制というとネガティブなイメージがありますが、シャトルバスには地元の自然ガイドが同乗し、利用者は渋滞にはまることなく、バスの中から安全に野生動物との出会いを楽しむことができるという移動サービスを試行しました。

単なる移動手段であるバスを知床らしい体験が提供できる「サービス」へと転換したこの取り組みが、今後、知床の新たな利用システムを作りあげていくための第一歩になることを期待しています。

上記、知床財団のサイトからですが、沖縄と同じように自動車の渋滞というものは非常に課題となっているようです。知床では車両規制するなどの実証実験を行っているものの、周辺の宿泊施設など商業との兼ね合いが難しいとのお話もありました。実際に我々が視察に言ったときにも山菜を取りに来る地元の方もいらっしゃいましたし、最近でも違う場所ですが(令和5年5月15日朝日新聞デジタル)北海道でヒグマに襲われた釣り人が亡くなったケースも報道がなされていましたので、安全面についても慎重な対応が求められます。沖縄ではヒグマはいないにせよハブはいますので。自然の中に入るのは危険と隣り合わせでということを利用者にも認識してもらわねばなりません。

知床ではヒグマの対策として以前は訪ねてきた際に、熊の出没状況で遊歩道が閉鎖されていることもあったようですが、電気が流れて熊が近づかないで安全に見ることができる高架の通路ができていました。

このおかげで、ヒグマの姿が見えたときも避難できる場所があるということで、安心してフィールドワークができます。加えて、ヒグマが活発に動くときには必ずガイドと共に入るということが義務となります。

普段の生活圏ではない地域と生活圏と重なる地域の違いはあるにせよ、西表島は船でしか入れないので、ある程度の規制をすることは可能かもしれませんが、やんばる地域は特に生活や商業とのバランスを上手く考えねばならないと感じます。

そして管理運営の課題として公益財団法人としては、寄付も集めやすいが利益を出すのは難しいということで、資金が自転車操業であり、そのため新型コロナの感染拡大などで、人の動きが止まった時は、運営継続に課題が出ることもわかりました。

県内では財団をつくるかはさておき、西表とやんばるの2箇所ありますので、それぞれが持続的な管理運営をするために先進地のケースを学びながら独自の手法を作り上げる必要があると思われますので、環境省や県担当課職員、そして当該市町村の関係者との綿密な連携を行う必要があると感じました。

北の国から その1(北方領土について)

沖縄県では領土領海の話をするとよく話題に挙がるのが「尖閣諸島」についてです。尖閣諸島が領土編入された翌1896年(明治29年)にはアホウドリの羽毛採取事業と開拓がなされ、その後には鰹節工場もあったようです。尖閣諸島について歴史など詳しくは内閣府の尖閣諸島研究・解説サイトをご覧になってみてください。現在はしばしば中国の海警局の船が排他的経済水域や領海を侵犯してくると報道がなされています(海上保安庁HP尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処

一方、県内では報道などではあまり触れられることのない「北方領土」について北海道では行くところどころで目にしました。北方4島とは北から択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島のことです。日本で1番大きな島は択捉島、次が国後島、そして沖縄本島、佐渡島と続きます。歯舞群島を行政区として所管する根室市では納沙布岬から貝殻島までの距離は3.7Kmと非常に近い場所にあります。ちなみに泊港から渡嘉敷島まではおよそ30Kmです。

根室市の副市長や議長とのお話をする機会もありました。4島合計で3,124世帯、合計17,291人の方々が1945年日ソ中立条約を破り、ポツダム宣言受諾後に敗戦を明確にした後に侵略続けてきたソ連により強制的に退去させられました。

1951年のサンフランシスコ平和条約でも日本は千島列島と樺太南部は放棄しましたが、北方4島は放棄した中に含まれておりません。現在も北方4島ではロシアによる不法占拠が続いており、この領土問題が存在するため、戦後70年以上経った今なお、日本とロシアの間では平和条約が締結されないままとなっています。(外務省HP日本の領土をめぐる情勢 北方領土

ポツダム宣言はその前のカイロ宣言の領土不拡大の原則を引き継いでいるため、国際法上不法占拠であるということで、日本は返還するように求めています。島民1世は すでに平均年齢が80代ということで返還は急がれるものです。

北方4島の周辺は漁獲が豊富な漁場となっているために、毎年ロシアとの漁業交渉がなされています。ちょうど私が北海道に入った直前の4月21日には貝殻島の周辺での昆布漁が妥結し、翌日には大きく報道されていました(NHK北海道NEWSWEB4月22日)が、この報道内容も沖縄県ではなかなか知らされることはありません。

 しかし、我が国固有の領土である北方4島の周辺での漁業をするために、なぜロシアとの交渉が必要なのか?第1管区海上保安本部でお話を伺いましたが、ロシアが不法な実行支配を続けているため、漁民が周辺での漁をした際には拿捕して船員を逮捕する、船を没収する、などが現に行われており、今後も可能性が高いためです。実行支配がなされるということはこのようなことなのです。万が一、尖閣諸島が同様になった場合、八重山の漁民も拿捕される可能性があります。

2020年現在、北方4島合計で18,000人が住んでいると言われていますが、沖縄本島と同じくらいの大きさの国後島には8,600人程度のロシア人が住んでいると記述されていました。(沖縄本島が約135万人)非常に広大な土地であると言えます。返還がなされた場合には領土、領海、排他的経済水域と非常に日本の漁業や農業に関して大きな領域が戻ってきます。

また、日本には他に竹島(島根県)が韓国との領土問題があると言われています(竹島に関する研究・解説サイト)が、これはまた別の機会に。

ちなみに尖閣諸島には領土問題は「ない」日本固有の領土であるということになっています。(内閣官房 領土・主権対策企画調整室 国際社会の法と秩序を尊重する日本の対応

犯罪被害者支援について

那覇ロータリークラブという会に参加していますが、以前、ちょうどいま時分に会員の弁護士の方から犯罪被害者支援についてのお話を伺いました。

その流れで犯罪被害者支援 ひだまりの会Okinawa の代表にご紹介いただきました。お話を伺い、この会が開催する「生命のメッセージ展」を見てまいりました。

 犯罪被害にあった方はもちろんその犯罪により辛い思いをすることはもちろんのこと、実はその後の生活についても非常に負担を強いられることが多いと言われています。

被害にあった人の精神的、身体の衝撃、自身だけでなく家族にも被害が及ぶこともあります。暴力などを受け たときの記憶は、その後も被害者を苦しめることになります。
そして経済的に困窮することもあります。一家の大黒柱の稼ぎ手を失った場合には遺族は深刻な経済問題に直面します。犯罪によってけがをした人や精神的な支援が必要になった人には治療費もかかります。そして、治療や療養が長引いて長期間仕事を休まなければならないこともあり、それが理由で失職や転職を余儀なくされる場合もあります。

そのためにローンや家賃を払いきれずに不動産や自動車など財産を売却したり、より安い住まいに引っ越したりするなど、これまでの生活を変えざるを得ないこともあるそうです。
直接身体に危害を受けなくても、空き巣に入られた被害者は再度被害を受ける不安に悩んだり、詐欺に合うと金銭的損害に加え「なぜ?自分は騙されたのか」と自分を責める方もいるようです。性犯罪の被害者は、心に深い傷を負い、外に出られなくなるなど安らかに日常生活を送れなくなる人も。
そして、捜査や裁判の調査による時間的な負担ももちろんのこと、その際に犯罪にあったことを思い起こし、精神的な負担を感じてしまうこともあります。犯罪等の被害を受けたことを周囲に知られた際には、周りの方々の励ましや気遣いなどが逆効果となり、生活においても困難を抱えてしまうなど、影響は非常に大きなものになります。

このような犯罪にあって苦しんでいる方々に対して支援が必要であるということで、平成16年秋の臨時国会(第161回国会)において、「犯罪被害者等基本法」が成立しています。以下、警察庁サイトから

同法は、犯罪被害者等(犯罪やこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為の被害者及びその家族又は遺族)のための施策を総合的かつ計画的に推進することによって、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的としており、その基本理念として、犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することなどが定められています。
国・地方公共団体が講ずべき基本的施策としては、例えば、

 

  • 相談及び情報の提供
  • 損害賠償の請求についての援助
  • 給付金の支給に係る制度の充実等
  • 保健医療サービス・福祉サービスの提供
  • 犯罪被害者等の二次的被害防止・安全確保
  • 居住・雇用の安定
  • 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備

 

といった項目が掲げられており、これらを犯罪被害者等の視点に立って実現することによって、その権利や利益の保護を図ることとしています。

これらの施策については、総合的かつ長期的に講ずべき犯罪被害者等のための施策の大綱などを定めた「犯罪被害者等基本計画」に基づいて推進していくこととしており、また、この基本計画は、犯罪被害者等基本法の施行に伴い内閣府に設置された「犯罪被害者等施策推進会議」において案が作成され、閣議決定ののち公表されることとなっています。

沖縄県でも昨年(2022年)7月には犯罪被害者等支援条例が定められました。その後に有識者や支援団体などにより審議会がつくられ、その審議会で3月末に県の犯罪被害者等支援計画が承認されました。

その内容は被害を受けた地域からの移転による金銭的な負担を軽減する、各市町村で設置されている対応窓口との情報共有、支援アドバイザーによる講座など80の 具体的対策を明記しています。現在5月策定に向けての最終段階ということになっています。

国としても様々な施策を行っていますので、その施策に合わせて沖縄県としても対応していけるように、今後もこの計画の内容と実効性について確認していきます。しかし、県では条例が作られましたが、実際の窓口となる各市町村においてはまだ条例化がなされていないという現状もありますので、市町村議との連携を行いながら、支援がしっかりとなされるように働きかけていきたいと考えています。

また、被害直後の混乱した時期から、様々な各機関での手続きを余儀なくされますので、被害者支援センターが各都道府県に設置されていますので、情報の周知についても行っていきます。支援センターでの支援活動について

皆様も自分は犯罪被害には合わないだろうではなく「まさか」「万が一」ということがありますので、「犯罪被害者支援」と検索していただき、ぜひ政府広報オンラインページ警察庁のページなどをご覧いただき、支援についての詳しい内容をご覧いただければと思います。

犯罪被害者支援シンボルマーク「ギュっとちゃん」

沖縄県教職員の精神疾患休職について

県の職員の病気休業の発生率が高い状況です。特に教員の病休は16年連続全国ワーストです。最新の2021年度の数値は全国0.64%(156人に1人)に比べ沖縄県は1.29%と倍。過去10年間で最多の199人となっています。担任や担当の教師が変わることはすなわち学校の子どもたちの環境が変わるということで、子どもたちの学校での教育にも大きな影響となるのではないかと考えられます。また、休職者とその代替者の給与は県が支払います。これは県民の不利益となるものなので議会質問において内容を伺いました。

精神疾患による休職の要因は、職務内容に起因するものだけではなく、家庭の状況や生活環境等、様々な背景があると考えられ、特定はできておりませんが、教育委員会は教職員が心身の健康を維持し、教育活動に専念できるよう労働環境の改善に励むと宣言しています。

教職員の病気休職者及び代替者の人件費は、令和3年度の病気休職者の人件費で約3億7000万円、病気休職者代替の臨時的任用職員の人件費は約16億8000万円で、人件費合計は約20億6000万円です。

この支出は本来、休職者を減らすことで地方交付税分をより質の高い教育実現に充てるべきです。

※参照、文科省 義務教育費国庫負担制度

○市町村が小中学校を設置・運営。都道府県が教職員を任命し給与を負担。

○国は教職員給与費の1/2を負担

また、病休者・代替者の給与費は、県民の税金でありますので、地方自治の本旨である、「地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする」により能率的な財政運営を実施するためには、病気休職者を減らすための対策に必要な財源を充てるべきではないかと思います。

すなわち予防です!

前総務部長でもある池田副知事から「精神、身体的な休職者の状況は、職場環境の改善などで軽減する。休むということ自体、その方の生活に影響もあります。適切な職場環境と勤務環境をつくる取り組みは極めて大事であり、結果的に休職者に支払われる経費を少なくできれば、その他の政策的な部分に充てられると考えています。職場の勤務条件を手当てしていく必要がある」との話がありました。

令和5年度には文部科学省で「公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事情」(教育家庭新聞2023年2月20日)が予定されています。この事業は全国で5か所を対象に調査研究を予定していますので、沖縄県が率先して手を挙げて改善がなされるように提案をしたところ、、令和5年度に、精神疾患になった原因の調査・分析を進める方針を固めました。(NHK沖縄NEWSWEB2023年2月6日

※また、4月1日よりスタートした令和5年度の組織改編で、教職員のメンタルヘルス対策と働き方改革の強化・推進を目的に「働き方改革推進課」の新設となりました。(NHK沖縄NEWSWEB2023年4月3日

同課は、メンタルヘルス対策を担う「健康管理班」と、働き方改革や業務改善を強化する新設の「業務改善推進班」で構成の見込みです。県立学校だけでなく、小中学校の教員についても、市町村教委や各教育事務所と連携対応を予定しています。

これは地域課題を行政と議員が共有し課題解決を進めるために議会の質問は非常に重要であるということがわかる一例となりました。ぜひ、県議会の内容についてもご興味をもっていただければ幸いです。

泡盛は無形文化遺産になる予定です!

 沖縄のお祝いや行事ごとに関して欠かすことのできない泡盛には『泡盛の日』が制定されています。8月・9月に仕込みをした泡盛はその年の11月から新酒が飲めるようになり、沖縄県酒造組合連合会によって泡盛製造の最盛期に入る11月1日はいい月いい日『泡盛の日』となっています。

それ以外にも古酒の日があり、1999年に『 泡盛百年古酒元年実行委員会』により、今まで以上に多くの県民が古酒に親しみ、そして古酒の育成、貯蔵する事を全国的に周知してもらうために、9月4日を古酒(くーす)の日に制定されました。その他にも様々な場面で泡盛のイベントが行われています。

先日(R5.3.17)も泡盛同好会の懇親会が3年ぶりに開催され、参加してきました。

新型コロナでのマスクの着脱がそれぞれの判断によることになってから初めての会ということで、老若男女と多くの方が参加していましたので、泡盛ファンの層の厚さとその根強さを改めて感じました。

その泡盛メーカーの組合である沖縄県県酒造組合は令和5年4月13日に浦添市で記者会見で去年1年間の泡盛の出荷量などについて発表し、泡盛の去年1年間の出荷量は1万3317キロリットルで、前の年から638キロリットル、率にしておよそ5%増となりました。しかし、泡盛の製造については平成16年2万7688をピークに年々減少し、ピーク時の半分以下になっています。

泡盛出荷データ【沖縄県酒造組合公式】

また、沖縄県では、県産の泡盛やビールなどを県内で購入する場合、酒税が軽減されてきました。これは1972年の沖縄県の日本復帰に際し、県外から競争力の高い製品が流入するなどの環境変化を緩和するために定められた「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」に基づき泡盛の酒税は35%軽減されています。

例えば、通常は一升瓶(1800ml)当たり540円かかるはずの酒税が、沖縄県では351円です。ビールの場 合は沖縄県外であれば350mlあたり70円かかる酒税が、沖縄県で買えば20%軽減の56円となっていました。しかし、本土復帰から50年を迎え、第6次振興計画以降はさらなる延長は認められないのではと危機感を抱いた酒造組合から軽減制度を2032年までに段階的に廃止することを提案しました。結果として、この案が内閣府令和4年度税制改正要望結果に盛り込まれることになり、内容は図のように、泡盛は出荷量に応じて3つのグループにわけて軽減幅を変えるというものでした。

グループA:年間出荷量1300KLを超える大手

グループB:1300KL~200KL、

グループC:年間出荷数量が200KL未満の小規模酒造

そんな中で、各酒造メーカーも様々な手を打っています。スパークリングやウイスキーのように樽で寝かしたり、スパイスを使ったジンのタイプ、芋を使った焼酎タイプ、他にもフルーツやフレーバーを利用したものなど多種多様な商品が展開されています。また、ブレンドしたり、炭酸割りやシークァーサーなどの割素材を使うことも提案されていますが、個人的にはそれぞれの酒造所での泡盛としての味わいの違い、年代の違いを感じ楽しみ、さらには自分で環境を違えて「古酒」を作ることもできますので、泡盛の世界は非常に広いものだと思います。

また、2022年3月には泡盛が日本政府によりユネスコの無形文化遺産への申請が決まりました。伝統的酒造りで24年にユネスコ政府間委員会にて審査される予定となります。

もちろん過ぎたるは及ばざるが如しという言葉もありますので、飲みすぎや状況によっては控えることも必要ですが、ぜひご自宅や飲食店で泡盛をお召し上がりになって、琉球・沖縄で大事に引き継がれてきた歴史・文化を私達はもっと知り、楽しむことも大切だと思います。