私の政治家としての師匠である“翁長政俊”氏の回顧録、沖縄保守の矜持〜翁長政俊回顧録〜(新潮社)が販売されました。翁長氏が関わった沖縄の政治・選挙の裏側が垣間見える一冊です。特に沖縄県で政治に関わる人、興味のある人は保革関係なく読んで欲しいと思います。沖縄の保守系政治家は県民の基地関連被害の現状を知り、県民感情を感じながら、現実的な基地負担軽減に向け動くことの難しさや苦悩すること、まさに私が直面していることは先輩方から続いてることだと思いました。この課題を後輩達に残すことなく、大変難しいとは思いますが、我々の時代で解決したいと強く思います。
本土においては55年体制(進研ゼミ)、1955年に自由党と日本民主党が合併して自由民主党(自民党)が結成され、同年に日本社会党が統一されたことを契機に形成された日本の政治体制が長く続きました。この体制では、自民党がほぼ一貫して政権を担い、社会党が野党第一党として対抗する二大政党構造が確立されました。自民党は経済成長を基盤に安定した支持を獲得し、長期政権を維持してきました。その一方、社会党は労働者や平和主義勢力の支持を受け、反安保や福祉拡充を主張しましたが、政権を取るには至りませんでした。この体制は冷戦の終結や社会の多様化により、1993年の細川内閣誕生で崩壊しましたが、日本政治の基本構造に長く影響を与えました。(NHK高校講座 戦後政治と政党)
今でも残ってはいますが、その55年体制の時期には「保革の争い」というワードが強く出ていました。保守・革新とはどんなものなのか?人によって捉え方がことなると思いますが、私なりに以下、まとめてみました。
「保守」とは、伝統的な価値観や社会構造を重視し、急激な変革を避ける立場を指します。保守派は、安定した社会を維持するために、現状の制度や仕組みを活用しながら漸進的な改革を目指す傾向があります。特徴として以下のような主張があげられます。
天皇制の維持:日本独自の文化や伝統の象徴としての天皇制を支持。
市場経済の重視:資本主義や自由競争を基本とし、経済成長を重視。
安全保障の強化:日米同盟を基軸とした防衛政策を支持。
「革新」とは既存の体制や価値観を改革し、より平等で自由な社会を目指す立場を指します。革新派は、労働者や社会的弱者を支援し、新しい制度を取り入れることで社会の進歩を促すことを目標としています。日本における革新勢力の特徴は以下のように感じます。
平和主義:戦争放棄を掲げる日本国憲法第9条の堅持を支持。
社会福祉の拡充:弱者救済や再分配政策の推進。
市民参加の推進:国民が積極的に政治に関与する民主的な社会を目指す。
とは言え、今やそれぞれが混ざり合い、また自民党の中にも保守派とリベラル派がいますので、政党により明確な区分はなされない状況であると思います。
また、沖縄県の政治は、戦後日本の政治全体と比較して独自の特性を持っています。地理的条件や歴史的背景、特に米軍基地問題が大きな影響を及ぼし、保守と革新という二つの軸で語られる対立構造が長く続いています。
1945年の第二次世界大戦後、沖縄はアメリカ軍の統治下に置かれ、日本本土とは異なる政治環境に置かれました。この期間、沖縄の政治は米軍統治に対する立場によって分かれました。保守勢力はアメリカとの協調を重視し、統治下での経済発展や自治権の拡大を求めました。一方、革新勢力は米軍基地の縮小や撤廃、さらには日本への復帰を強く主張し、住民運動や労働運動を通じて反基地活動を展開しました。
1972年に沖縄が日本に復帰すると、沖縄の政治は米軍基地問題と経済振興を巡り、保守と革新の対立が明確化しました。復帰直後の1970年代から1980年代にかけては、革新勢力が主導権を握り、県知事も革新系が占める時期が続きました。この時期の革新勢力は、基地縮小や平和主義を掲げて県民の支持を集めました。一方、1990年代以降になると、保守系勢力が国との協調を重視する現実路線を訴えることで台頭し、革新勢力と拮抗するようになります。保守勢力は、基地経済を活用しつつ、観光業などを中心とした沖縄経済の発展を訴え、国からの補助金を積極的に活用してきました。一方、革新勢力は引き続き基地反対を掲げ、住民運動や自治体レベルでの取り組みを通じて基地問題の解決を目指しました。
現在の沖縄政治における保守と革新の対立は、米軍基地問題を軸にしながらも、経済振興や環境問題などの新たな課題が加わり複雑化しています。革新系の勢力は、特に名護市辺野古への新基地建設に反対する運動を中心に据えています。一方、保守系勢力は国との協調を重視し、基地問題では「現実的解決」を訴えています。基地の存在を容認しつつ、経済振興を図ることで県民生活を向上させる立場を強調しています。
米軍基地問題は保守と革新の対立を超えて、解決すべき共通の課題です。革新勢力は「基地のない沖縄」を理想としていますが、保守勢力も基地依存経済からの脱却を目指しており、基地問題への対応は双方にとって重要です。
また、経済振興も重要なテーマです。沖縄は観光業を基盤とする経済構造を持っていますが、地元産業の振興や新産業の育成、持続可能な発展の実現が求められています。さらに、子どもの貧困、若年層の雇用や教育問題、環境保全も重要な政策課題として浮上しており、保守・革新ともに新しい解決策を模索しています。
全国的にも政治・政党に求められることが多様化している中、沖縄の政治は、保守と革新の二極対立を維持しつつも、その枠組みを超えた政策が求められる時代に突入しています。特に、米軍基地問題に関しては、双方が現実的かつ持続可能な解決策を模索することが重要ではないでしょうか。同時に、経済振興や環境問題においても、沖縄の特性を活かした新しい取り組みが期待されています。
保守と革新が対立するだけでなく、共通の課題に対して連携し、県民の利益を最大化する政策を実現できるかどうかが、沖縄の未来を左右する鍵となるでしょう。 沖縄の政治には、基地問題の影響を超えて、経済や社会全体の発展を目指す柔軟な対応が求められていると感じています。私もしっかりと、県民の皆様からの声を受けて取り組んでまいります。
2024年6月の選挙で皆様のおかげで県議会2期目を当選させていただきました。本当にありがとうございます。また2025年もどうぞご意見をいただき、県政に対してのご意見、並びに、お力添えのほどよろしくお願いいたします。