「泡盛乾杯条例」は、現在のところ沖縄県与那原町が2019年7月9日に施行した「与那原町琉球泡盛で乾杯を推進する条例」があります。この条例は、琉球泡盛による乾杯を推進し、その文化の継承と普及を図ることを目的としています。具体的には、町の公 式行事などで泡盛による乾杯を奨励し、関連事業者や町民にも協力を呼びかけています。
このような「乾杯条例」は、地元産の酒類での乾杯を推奨するもので、全国各地で制定されています。例えば、京都市では2013年に「京都市清酒の普及の促進に関する条例」が施行されました。与那原町の条例は、沖縄県内で初めて泡盛による乾杯を推進するものとして注目されました。
この条例の背景には、琉球泡盛の出荷量が減少傾向にあり、その文化の継承と地域産業の振興を図る目的があり、町民や事業者が一体となって泡盛文化を守り、次世代へ伝えていくことが期待されています。
しかし、泡盛の消費がなかなか伸びない中、酒造所や酒販店などの様々な取り組みをしています。そんな中で、吉報が舞い込んできました。日本の「伝統的酒造り」は、2024年12月2日から7日にパラグアイのアスンシオンで開催されている第19回政府間委員会で、12月5日にユネスコ無形文化遺産代表一覧表への登録が正式に決定が発表されたのです!
「伝統的酒造り」は、米や麦などの穀物にこうじ菌を用いて発酵を促す独特の技術であり、日本酒、焼酎、泡盛、本みりんなど、多様な酒類の製造に活用されています。この技術は、500年以上前の室町時代に原型が確立され、杜氏や蔵人と呼ばれる職人たちが経験を積み重ね、手作業の技として発展させてきました。
ユネスコの評価機関は、「伝統的酒造り」が日本の祭りや結婚式などの行事に欠かせない役割を果たし、職人と地域住民を結びつけ、環境の持続可能性にも貢献している点を評価し、登録を勧告しました。これにより、「伝統的酒造り」が正式に無形文化遺産に登録されれば、日本の文化的多様性と深みを世界に発信する重要な機会となります。
この登録は、日本の酒造りの技術と文化を次世代へ継承し、国内外での認知度向上や普及啓発に大きく寄与することが期待されています。
また、酒造りを通じたコミュニティ内の絆の強化や、世界各地の酒造りに関する技術との交流・対話の促進にもつながるとされています。「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産への登録は、日本の伝統文化の価値を再認識し、その保護と振興に向けた大きな一歩となるでしょう。
この動きを受け、沖縄県酒造組合、工業連合会、産業振興公社、商工会連合会などの関係団体は県議会に対し、県全体での「琉球泡盛で乾杯を推進する条例」の制定を求める陳情がなされています。
県議会では、5年前にも同様の陳情が上がっておりましたが、ちょうど改選前の任期末だったこと、当時の議論で飲酒運転についてや酒量の増などの課題も挙げられ、また「乾杯」と文字を入れるかが意見の分かれるところとなり、採択には至りませんでした。今議会の陳情を受けて今後、乾杯条例の議論がなされる予定です。私はその条例の内容としては、罰則などはなく、沖縄の誇れる食文化としての振興や消費拡大を目的とし、県内の公式行事や地域イベントでの泡盛による「乾杯」を奨励することが盛り込まれるようにしていきたいと考えています。