選択的夫婦別姓(氏)制度

最近の産経新聞は、選択的夫婦別姓(氏)制度について、かなり攻めた記事をかいていますね。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割 ごまかしの選択的夫婦別姓議論 2025/1/1 07:00

選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、小中学生のほぼ半数が「家族で名字が変わるのは反対」と考えていることが、産経新聞社の調査でわかった。政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。将来、自分が結婚した際の別姓も「したくない」との回答が6割にのぼった。

この記事についてはXでもかなりの賛否が分かれていました。

そして、産経新聞の1月4日の配信記事で自民党の山下たかし代議士の予算委員会での質問を通して記者が考える「選択的夫婦別姓(氏)制度」に対する論点と主張が展開されていました。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)

読んでみて考えさせられたので、少し内容を私なりにまとめてみました。

①「選択的夫婦別姓(氏)制度」は選択肢を増やすというポジティブな表現で紹介されるが、本当に社会にとって有益かどうかは十分に検証されておらず、ポジティブな印象操作により、表面的な支持が集まりやすくなっているのではないか。

②世論調査の結果として、法務省の調査では「選択的夫婦別姓(氏)制度を導入した方がよい」の回答が約28.9%にとどまり、多くの人が現行制度の維持や旧姓の通称使用の拡充を望んでいると述べている。まずはそこから入るべきではないか。

③国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の勧告を利用し、立憲民主党を中心とした野党が、日本がさも「女性に差別的で後進的な国」と印象づける動きがあるのではないか。

④選択的夫婦別姓(氏)制度導入が家族や社会にどのような副作用をもたらすかについて、十分な議論がなされていないとの懸念が示されている。これまでも長い間、議論がされてきたと言う方もいるが、この選択的夫婦別姓(氏)制度に関する民法改正が憲法改正に匹敵するほど重要な問題であり、慎重な検討が必要ではないか。

⑤選択的夫婦別姓(氏)制度推進派の背後には、家族制度や戸籍制度の精神的解体を狙う意図があり、これにより日本社会の結束が弱まり、共産主義的な「共同体家族」への移行がもたらされる可能性あるのではと警戒されている。

家族制度が社会や文化を規定するという歴史人口学者のエマニュエル・トッドの理論を引用し、日本社会の特徴が変容する危険性について述べ、選択的夫婦別姓(氏)制度が日本の家族制度や社会秩序に深刻な影響を及ぼす懸念があり、選択的夫婦別姓(氏)制度導入は国会審議のみで進めるべきではなく、国民投票などを通じ、慎重な議論が必要とされている。

当該記事の記者が石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だそうです。

《世の中はなかなか直りにくいものである。人々は自分を圧迫するものに対してあまりにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかりあせり、それにはどんな代償がいるかを考えない。我々はたくさんの実例によって、社会はふつう、直されてかえって悪くなることを知っている》(第3巻第9章「すべて空なること」関根秀雄訳)

 私は、今の通称利用の制度を拡充することで家族的なつながりと個人のアイデンティティの両立はできるのではないかと考えています。この案件については皆様においても様々な意見が尚、多くあるかと思いますので、拙速な判断はすべきではないと思います。

カテゴリー: その他 パーマリンク