決算特別委員会は、議会の重要な権限の一つである「決算認定」を行うため、特別に設置される委員会です。県議会は知事から提出される予算案を審査して、予算を決めますが、そのままだと予算が実際にどのように使われたかは分からないですよね。
そこで、県議会では決算についても審査して、予算が適正かつ妥当に使われたかどうかを認定して います。沖縄県議会では決算認定の議案は、まず例年、9月に行われた定例会後に決算特別委員会を開催し、11月定例会の議案として議会に提出されます。決算特別委員会の委員数は、地方議会によって異なりますが、沖縄県議会では、決算特別委員は会派の人数によって割り振られ、今期は17名(自民党・無所属の会8名、公明党1、維新の会1、てぃーだ平和ネット3、おきなわ新風2、共産党1、社大党1)で構成されています。いわゆる与党が7、中立2、野党8です。
決算の審査は、県全体のお金の使い方を審査するので、対象分野が多岐にわたっており、事業数も金額も膨大なため、決算特別委員会では、常任委員会に準じて分科会を設け、分科会ごとに決算についての説明と質疑が行われます。事業として知事・副知事などに確認したいことや全庁横断している案件などを総括質疑のテーマとして取り上げます。決算特別委員会では、分科会で行われた質疑内容が報告され、全体として総括質疑を行った後に、決算特別委員会として、決算を認定するかどうか決定します。
決算審査は、既に使われたお金の審査ですので、既に支出された経費を取り戻すことはできませんが、不適切なものや非効率なものがあれば、質疑を通じて明らかにし、今後の予算編成に反映させることができます
その決算委員会を通して明らかになったのが沖縄県の「ワシントン駐在は株式会社であった!?」ということです。9月定例会で駐在員のビザ取得について仲里全孝議員の質問が発端となり、その後の決算委員会の総務分科会で公に発覚しました。
県の出資する会社は地方自治法上も議会に報告義務もあり、決算の提示もしなければならないのですが、2015年のワシントン駐在の設置以来、そのような報告が全くなされていませんでした。早速、総務省からも海外事業所でも報告義務のある旨のコメントが発出されているようです。
自治体が海外に拠点を作って情報発信、調査広報することは問題ありません。実際に多くの自治体が行なってます。海外の大使館、JETRO等政府系拠点と連携し、企業誘致や食をはじめとする地域の文化発信等を見聞きされた方もいるかと思います。しかし、沖縄県は当初、政治的な活動をするための非営利法人を設置したいと申請したため、合衆国政府から拒否されました。その後、営利企業を作り、職員のビザを取得し、派遣をしてしまいました。自治体の本来業務、予算執行、地方公務員法等の点で問題視され、議会での追求をされるのは当然ではないでしょうか。
この駐在員ビザ取得に係る一連の問題や沖縄県100%出資の子会社の存在が明らかになったことは本事業支出の正当性を根底から覆す事態となっているため、一般会計は不認定となりました。これは1972年の復帰から初めてのことになります。我々は百条委員会の開催も視野にいれなければならないと考えています。
※百条委員会とは 議会の委員会は本来、調査権の行使を認められてはいないが、議会が特定の事件を指定したうえで常任委員会又は特別委員会に対して調査を委任したときに限り、当該委員会は調査権を行使することができます。
調査権の行使の主体は、議会である。議会が調査権を行使するために議決を行い、委任を受けた委員会のことを、百条委員会と呼びます。