荒れた副知事選任

jさて、ワシントン事務所に加えて今回の議会で話題なのは副知事案件です。

県政史上初の副知事の任命に対して「記名投票がなされる」という異例の事態となりました。

我々自民党会派は「無記名投票」を提案し、与党会派はその自信のなさからか議員の意志を縛りつける「記名投票」を提案しました。

結果として「記名投票」が採択されてしまい、副知事の選任については議長を除く47人中、賛成24票、反対23票で知事の提案通りに照屋義実氏となりました。

その顛末について書き記しておきます。

沖縄県では富川盛武(Wikipedia)副知事が基地問題や経済畑の担当をしておりましたが、令和3年3月8日で任期満了退任(2021年3月8日琉球新報)しました。

富川副知事は教員採用試験の口利き疑惑で退任した安慶田光男副知事(沖縄タイムス2017年10月31日安慶田前副知事の口利き「可能性高い」と第三者委)の後任として翁長雄志県政で就任なさいました、前知事の逝去に伴い、行われた県知事選挙に当選した現玉城デニー県政においても副知事として継続任命され、沖縄国際大学の元学長で、経済にも明るいということで振興計画の策定を統括し、基地問題の担当とかなりの激務であったと思います。

沖縄振興は歴史的、地理的、自然的、社会的な特殊事情に由来する条件の不利性に鑑み行われるもので、沖縄振興策にとって関連が深い沖縄振興特別措置法がどのような文言になるのかで財政・税制や仕組みなどの支援内容が大きく影響を受けます。(沖縄県Webサイト沖縄振興策について)

我が会派の代表質問を皮切りに多くの会派と議員からもこの副知事の新たな提案について取り沙汰されておりました。

私も一般質問の中で、令和3年度末(令和4年3月31日)に期限を迎える沖縄振興特別措置法が延長されるのかどうかに関わるこの時期にこれまで統括している担当副知事が退任をなさるのは政府に対しても微妙なメッセージとして受け止められるのではないだろうか?タイミング的にいかがなものかと言うことをお伝えしました。

きっと富川副知事の再任であれば全会一致で可決されたであろうと思います。しかし振興計画の佳境であるこの時期に退任をされる富川副知事も何かの理由があり、また新しい副知事を任命したい玉城デニー知事にも含みがあるのではと考えさせられます。

代表質問、一般質問にを終えた後の3月8日の総務企画委員会において副知事人事が議論されました。

現在、県政策参与の照屋義実氏を副知事へとの記事が県内紙に掲載されたのは2月初旬であり、まさにその通りの人事案が上程されております。(沖縄タイムス2021年2月2日 )沖縄県の副知事に照屋義実氏を起用へ 「オール沖縄」の象徴的な存在)

私も総務企画委員会をWebで傍聴しましたが、理由として確かにこれまで全国商工会青年部会長や県建設業協会会長、県商工会連合会会長、沖縄県教育委員長、県政策参与と歴任をし、経験を積んだ経済人ではありますが、数々の問題があげられております。

① 一般質問において仲里全孝議員が指摘をした県政策参与として、発注側の立場であるにも関わらず、5件の公共工事を落札している。その中でも数千万円の工事に対して最低制限価格と数千円の差での落札があったことを指摘されている。

② これまで様々なメディア(朝日新聞デジタル2014.10.29、週刊金曜日2015.5.5、新聞赤旗2018.9.14)において、ここ10年間は基地工事には手を挙げたこともない。と述べているにも関わらず、複数の防衛省の基地関連工事に対し応札をしている虚偽発言が判明しました。沖縄副知事候補が「虚偽」発言? 基地経済批判の一方で…知事痛手に(産経新聞2021.3.6)

さらに、その虚偽発言に対して委員会ではインタビューの内容については当日聞いたので精査する間がなく応じた旨、受注を意図したものではない。電子入札に慣れるために担当社員が行ったとの回答が本人からあったと総務部長から説明がなされた。ということから

③ インタビューの内容を精査せず、自社の方針や経営内容について重要な案件に対して「適当な」応答をしたということは、今後の公人としての資質に問題がある。

④ 「電子入札制度に慣れるため」とあったが、落札の意思がなければ入札には社会通念上は参加しない。虚偽ではないかという問題。

⑤ 「担当社員がしたことで、把握をしていなかった」旨の回答は今後は一般行政部門3,920人 教育部門14,151人警察部門3,060人公営企業 3,006人莫大な数の職員の管理責任を負う今後の県政運営に関わるにあたり、責任感が伺えない。

さらには、委員会において知事本人の答弁において明確に富川副知事の後を任せるという発言があったことから、次期沖縄振興計画に関わる特別措置法の制定に重要な時期であり、担当を変えるのはどうかという意見をしました。総務部長より「振興計画を所管する企画部は担当を謝花副知事への変更を考えている企画部長の経験があることが理由」という旨の話がなされました。この話に関してはそれぞれの部局でも寝耳に水だったようで職員からは商工労働部と企画部の担当が異なることは異例だという意見を耳にしました。

⑥ 次期振興計画は国の見解としては「白紙」であり、本当に県民のことを考えて国と県が膝を詰めたやりとりをして行く必要があり、照屋氏、謝花副知事も共に前翁長雄志知事の側近としての政権に対して批判的な意見を前面に置いた活動をしていることもあり、国との信頼関係の構築がなされるのか?という疑念がある。

⑦ 当初の提案理由と異なる担当替えを急遽行い議会での説明を行うなど、一貫性のないブレた人事であることが明確である。

上記を元にして私は反対の意見を持って投票に臨みました。

写真は投票に用いた札です。賛成は白、反対は青でした。

追記

⑧ 仮に「慣れるため」の入札を行い、落札した際にはどのような判断をするのか、インタヴューのように基地工事は取らないという判断であれば、行政職員に取っては二度手間になってしまいます。そこに関わる職員に対して申し訳ない気持ちにならないのか?そのような軽い気持ちで公共工事に参加する人が今度は公共工事を出す側になるのを危惧しております。