ワシントン駐在費1億円は本当に必要か?

沖縄県議会2月定例議会において副知事人事とワシントン駐在所の案件が結構な話題となっています。

今回、自民党会派からの質問があっただけでなく、その効果に対して与党会派からも多くの議員が本会議、予算委員会での質疑を行なっています。

沖縄県ワシントン駐在所は翁長雄志知事時代の平成27年度から設置をされています。これまで予算はおおよそ年間7000万円と言われておりました。実際にこの5年間で3億5000万円との答弁もでております。

我々からは「事業予算に含まれていない人件費がどのようになっているのか?」という質問にこれまでは個人情報ということで伏せられていましたが「総額でいくらか?」ということで答弁をいただく事ができました。その額なんと年間3000万円!

ということは、事業予算と人件費を合わせて毎年1億円かかっています。

この中にはワシントンでの住居費が二人で約月あたり5500ドル。年間で66000ドル(7,128,000円 換算レート1ドル=108円 3月5日現在)や特殊手当なども含まれております。

事業費の約7000万円をほぼワシントンコアL.L.C社というコンサルティング会社に対して職員の支援やロビー活動の多くをおまかせしているのが現状です。この中には事務所の家賃が年間770万円、弁護士700万円程度の費用なども含まれていると言われております。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大下において、駐在の県職員は昨年の3月から9月までの7ヶ月間は沖縄に戻ってきており、オンラインによりセミナーに参加したり、連邦議会議員との面談をしていたりしながらその業務を成果としてあげております。本当にこれだけの予算をかける必要があるのかが疑わしく感じてしまいます。

ワシントン駐在の職員がこの7ヶ月沖縄に戻っているにも関わらず海外勤務としての特殊勤務手当がついていることに加え、赴任地からの出張手当があることも予算委員会の質疑の中で発言がありました。これは条例に定められているため、移動実費、移動日当、旅行雑費として321,990円を支払ったということです。

以下沖縄県のWebサイトから沖縄県ワシントン駐在の記録ページということで実績がアップされていますのでご覧いただければと思います。

(1)米国関係者との面談実績が大幅増 資料4頁(PDF:4,171KB)

(2)駐在の活動件数は、米国内で日本の代理人となった機関の中で第1位 資料5頁(PDF:224KB)

(3)米国側の各種情報の収集実績が大幅増 資料6頁(PDF:4,523KB)

(4)米軍に起因する事件・事故が発生した際に米軍関係者に直接伝達

確かに職員は一所懸命になって活動をしていますが、やはり外交は国対国の行うべきことになるので、なかなか難しいようです。ワシントン駐在活動報告を見ても本来、本来外交を行う日本大使館との接触はほぼ見られません。県庁内部や沖縄の外郭団体OCVBや旅行社などとの調整や最近はWebセミナーへの参加や米連邦議会のサイトからの情報収集・分析などになっています。

この設置の最大の目的は翁長雄志県政から引き継がれてきた普天間基地を代替施設として建設されているキャンプ・シュワブの辺野古地域への移設を断念させることです。残念ながら沖縄県としては様々な法的に訴訟を起こすも最高裁でも勝てない状況が続いており、建設は着々となされております。

ワシントン駐在は沖縄のことを伝えていると言われております。しかし、これまで知事が良く使う国土面積の0.6%に米軍専用施設の70%という表現がありますが、米国の資料には米軍の25%という記載になっており、この内容は全く変化がないことも答弁で明らかになりました。

また、駐在赴任していた職員が沖縄に戻り、関連する部署にいないという話も聞いております。

この投稿は先輩議員からの情報や沖縄県のWebサイト、これまでの議会議事録を元にしていますが、ワシントン駐在に関して、私ははっきり申し上げて「不要」であると思っています。

先に投稿した沖縄の在日米軍専用施設面積を50%以下にするそうですにおいてもロードマップが見えないことも合わせて、現県政が戦略的に何をしたいのかが全く見えない状況です。

さらに辺野古関連では陸上自衛隊の水陸機動団と米軍海兵隊がキャンプ・シュワブを合同で使用するということが過去に合意されていたという内容の記事が沖縄タイムス紙のトップで報じられていました。この点も多くの議員からの質問で取り沙汰されていました。

辺野古の新基地に自衛隊を常駐 海兵隊と自衛隊のトップが極秘合意 (1月25日に沖縄タイムス社と共同通信社が合同取材)

ちなみに、この点においては防衛省は明確に「ない」と否定しております(防衛省報道資料令和3年1月26日(火)岸防衛大臣閣議後会見)

この案件も与野党議員の質問に対し「共同使用はさらなる基地負担増に繋がるものであり、断じて容認できない」という答弁でした。

しかし自衛隊の管理下において米軍との共同使用をすることで、自衛隊のコントロールが効くことにもなり、加えて専用施設の割合が減ることになります。共同使用の内容が不明なままに、単純に基地負担増だという考えは短絡的ではないかと感じています。

また、仮に県内施設が国外移設がなされた場合は分母が減るので、専用施設の割合の減り方も少なくなります。その点も指摘をされていましたので「パーセント」ではなく「面積」や「施設数」を具体的に表すこと、さらには地域を指定しながら、運用についても国との協議をしっかり行うことをSACO最終報告の返還プログラムと同時に行っていくことが回りくどく時間がかかるようですが、最短での基地負担軽減に繋がるものだと思います。

この議会の質問を通して那覇軍港の浦添移設も取り上げられていましたが、それも合わせて県の基地対策が迷走していると感じたのは私だけではないはずです。


【追記】予算委員会において中国にある県事務所で現在の尖閣諸島の課題もあるということから、政治的な情報収集もできるようにすべきではという提案をいたしました。

てぃーだネットワーク会派の委員からさらに踏み込んで、北京事務所と上海事務所、現在は商業的な目的での設置をしており、どちらも商工労働部経由で産業振興公社の所管ですが、北京は政治的な場所であるので、商工労働部から知事公室に所管を移すべきではとの意見もありました。

海外事務所のあり方は今後の検討課題となります。