特別措置法(復帰特別措置法・沖縄振興特別措置法)

沖縄県には2つの特別措置法があります。

沖縄県の復帰に伴う特別措置に関する法律(いわゆる復帰特措法)と、沖縄振興特別措置法(振興特措法)です。

5月15日、1972年に沖縄県が敗戦後27年間の米国施政下を経て日本に復帰を果 たした際に法律や制度などが大きく変わると生活支障が出るということで激変緩和措置を趣旨として復帰特措法が制定されました。

第一条 この法律は、沖縄の復帰に伴い、本邦の諸制度の沖縄県の区域における円滑な実施を図るために必要な特別措置を定めるものとする。

とあります。非常に幅広く、我々の生活において関わる多くの事案がこの法律には記載されています。

それから52年目を迎えます。沖縄県は道路、港湾、水道、住宅、医療などの生活インフラの整備の本土との格差や大型の製造業が育たなかったことも含め、戦後の日本の復興期とは流れの異なる時間を過ごしています。

その後、第1~3次の沖縄開発振興計画は本土との格差是正を主として、第4~5次の沖縄振興計画は民間主導の自立型経済の構築を目標として社会資本整備がなされ、現在は第6次です。これが最後の振興計画であるとも言われています。その根拠法となるのが沖縄振興特別措置法です。

第4次までは沖縄開発庁や内閣府などの中央省庁を中心に計画が立てらてていましたが、第5次以降は沖縄県の自主性を重んじて国と協議しながら県が計画を作り定めていく方針となっています。その基礎となるものは仲井眞県政時代に定められた21世紀ビジョンと根拠法として、本土で施行されている地域振興立法を参考にし、制定されています。

1〜6次の流れは国立公文書館1〜6次の流れは国立公文書館(〔コラム〕公文書等から見る沖縄振興(開発)計画~国立公文書館所蔵資料を中心に~)をご覧になるとわかりやすいです。

復帰特措法による税制には以前にこのブログでも触れた酒税減税、他にガソリンにかかる揮発油税の軽減などがあります。(※現在(R5.12.03)において揮発油税の軽減措置1Lあたり7円をどのようにするのか?ということが国会でも議論となっています。)

また、現在の沖縄振興特措法には沖縄公庫の設置や沖縄振興交付金(いわゆる一括交付金)、自由貿易地域や金融などの産業を活性化させるための特別区の制定、インフ ラの県民負担軽減を目的とした電気の供給に関わる課税や中小企業の振興など含めた減税措置があります。

この2つの特措法に加えて沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法(駐留軍用地の跡地利用法)もあります(跡地利用法についてはまたの機会で)

このように沖縄県復帰から様々な振興策を50年余取り組んでまいりましたが、なかなか平均所得が最下位から脱却することができません。今後の県の発展を考えた際には、もちろん観光業など現在の基幹産業と言える業界をしっかりと支援して強化しベースとすることは必要です。

加えて私もこれまで何度も議会で取り上げていますが、海洋資源の研究開発を国と力を合わせ、方針をつくり、OISTなどの研究機関との連携で充実させて、県内の産業として育成することは非常に重要だと思います。他にもOISTとの連携という点では、薬剤師会から強く要望の上がっている県内への大学薬学部設置から創薬にもつながるものになるのではないかという期待もあります。また、県内の経済循環率を高め、食糧自給率を上げていくことも必要となってきます。稼げる漁業や稼げる農業も重要です。このように産業の創出や教育機関を設置し、教育力を上げることなど、沖縄県にはやるべきことが山ほどあるのが現状です。

加えて、沖縄県内の米軍専用施設についても整理統合は進んできていますが、まだまだ負担は非常に大きいといえますので、今後も基地負担の低減についてはしっかりと国とも協議して進めて行かねばならないと思います。国政与党の自民党に所属する県議会議員だからこそできることもあります。

そのためには皆様からの声とお力が必要ですので、今後もご意見、お力添えをお願いいたします。

沖縄県の復帰50周年特設サイトから