11月30日に県内の若手薬剤師のフォーラムに登壇いたしました。
また、7月に参議院議員選挙がありますので、日本薬剤師連盟副会長の神谷まさゆきさんが来県して、薬剤師議員がなぜ必要なのかについてお話しをなさっていました。私も政治と薬剤師というタイトルで少しばかりお話をさせていただきました。
私に白羽の矢が立ったのはなぜかな?と思っていたら、先だっての9月定例議会代表質問で薬学部の設置について取り上げたことが理由でした。
以前から文教厚生委員会においても薬剤師会からの薬学部設置の陳情が上がっていたことは気になっておりましたので、この機会に少し皆様にお伝えしておこうと思います。
国は団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年を目処に、住まい・医療・介護・予防・生活 支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しており、薬剤師について は、多剤・重複投与の防止や残薬解消による患者の薬物療法の安全性・有効性の向上、医 療費の適正化への役割が求められており、沖縄県においても地域包括ケアシステムの構築 に必要な薬剤師の養成確保が急務となっている。
しかしながら、沖縄県は人口 10 万人あたりの薬剤師数が全国最下位であり、沖縄県議 会に対して沖縄県薬剤師会から薬剤師確保に関する陳情が提出される等、県内の薬剤師は 慢性的に不足している状況にあることが課題となっている。
薬剤師が不足している要因として、沖縄県内に薬剤師養成機関が無く、薬剤師になるた めには、県外へ進学する必要があることや多額の費用がかかること等が挙げられており、 沖縄県薬剤師会、沖縄県医師会、沖縄県歯科医師会、沖縄県看護協会が連名で、県内国公 立大への薬学部創設を求める署名活動を実施し、約 10 万筆の署名が集まっている。
沖縄21世紀ビジョン基本計画【改定計画】では、地域社会を支える人材の育成の中で、 医薬品の適正使用を推進するため、薬剤師の確保等に努めることとされている。また、沖 縄県知事は、薬剤師不足の解消を目指し、琉球大学への薬学部設置に取り組むことを公約 としている。
上記を踏まえて、本業務では、薬剤師不足解消及び県内国公立大学への薬学部設置の必 要性、可能性等に係る調査等を実施した。(沖縄県令和2年度薬学部設置可能性等調査より)
以下、厚労省のウェブサイト平成30年(2018年)医師・歯科・薬剤師統計の概況・薬剤師から
薬局・医療施設に従事する人口 10 万対薬剤師数は 190.1 人で、前回(181.3 人)に比べ 8.8 人増加 している。
これを都道府県(従業地)別にみると、徳島県が 233.8 人と最も多く、次いで東京都 226.3 人、兵庫 県 223.2 人となっており、沖縄県が 139.4 人と最も少なく、次いで、福井県 152.2 人、青森県 153.0 人 となっている。(図 14)
ということで、全国平均と比較すると沖縄県には薬剤師が大幅に足りません。全国平均と県は700人くらいの差があります。
今後の需給予測を見ても今後は差が開いていきます。
さらには今後の地域包括ケアシステムによる高齢者のケアをはじめとする地域の見守りに対して、薬剤師の担う役割は大きくなり、さらにはOISTや琉球大学医学部をはじめとする教育・研究機関との連携による創薬、食品関連の企業への参画による産業創出も見込まれますので、ニーズは間違いなく高まるであろうと思います。
しかし、県内には薬学部がないために、薬剤師になろうとすると県外の薬学部のある大学への進学が必要となります。県外への進学はお金がかかります。
学費含めて4年制大学でも1000万円はかかるだろうと言われていますので、薬学部6年制だと、その1.5倍近くはかかるはずです。その解消のためにも、県内薬学部の設置を求める声があります。
人材育成のためには県外への進学ももちろん大事です。しかし、県民の経済的な状況もあります。また、県外から優秀な人材が沖縄に来て学び、沖縄にその後も住むこともあり得ますので、教育・研究機関の設置は政策的に進めていく必要があると思います。
現在進んでいる調査において、必要性は十分にわかっています。
その調査をもとに、現在は琉球大学または名桜大学への設置を念頭に考えているようですが、それには定員の問題、予算の問題など様々ありますので、県だけでは解決できません。だからこそ、国との連携が必要だと思います。私も県議会を通して薬学部の設置に向けて協力してまいります。