以前のBlogで取り上げた狂犬病の内容を見て、連絡のあった獣医師さんからトキソプラズマという寄生生物についてお話を聞く機会がありました。人畜共通の感染症です。通常は免疫により大きな問題にはならないようですが、免疫が低下 しているときには重篤な状況となりうるということです。また、妊婦さんが感染をすると胎児に影響が出るケースがあるようです。写真:国立感染症研究所サイトから
以下、トーチの会と言う先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会のwebサイトから
トキソプラズマは家畜の肉や感染したばかりのネコの糞や土の中などにいる、ごくありきたりの原虫です。原虫と言っても、とても小さな単細胞動物なので目には見えません。
日本では大人になってから感染率が高くなる傾向にあります。 感染しても健康な人には全く問題ないのですが、妊婦が初めて感染した場合は、その胎児にも感染が及ぶことがあるので注意が必要です。
感染した胎児には、流産・死産、脳や眼の障害などが生じることがありますが、症状も障がいの重さも様々です。
そして、感染しても何も症状がないこともあるし、出生時に問題がなくても成長するにつれて症状が出る場合もあります。
特に重要なものは網脈絡膜炎による視力障害です。
とあります。
そのトキソプラズマ症はネコ科の動物のフンが感染の原因となるケースがあるようです。沖縄県内も含め全国的にイヌネコ殺処分ゼロを目指して、行政やボランティア団体などが協力して様々な取り組みをしています。その中でネコのTNR(Trap捕らえて、Nuter不妊手術をし、Return元に戻す)活動が盛んになっています。「さくらネコ」という耳先をカットした一代限りの命を全うさせるために地域で飼うネコとしている場所もあります。確かにアニマルウェルフェア(動物福祉)という観点であれば必要な活動であると思いますが、そのフンがひょっとしたらトキソプラズマ症の原因となる可能性があると言うことも知っていただければと思います。
また野良ネコだけでなく、家で飼っているネコも感染の可能性がありますので、知識として皆さまにも知っていただければ幸いです。
それに加えて、豚、ヤギなども感染していることもあり、適正な検査と(熱・加工など)処理がなされているお肉を食べてください。
この課題に対しては県内でも様々な団体が設置していますが、まだ不足している野良ネコを捕獲した際のシェルターの設置増をすること。譲渡活動への支援を行うことが県として目の前の対処として重要ではないかと考えます。
そして、それ以上に何よりも重要なのは適正飼育(室内飼い)に対しての情報を皆さんにお示しして、知識を身に付けていただくことと、ネコを好きな方とネコが苦手な方もいますので、地域ネコに対しても地域の分断がないようにしっかり意見調整の役割をすることが求められると思います(ここは重要であると地域ネコ活動をなさっている方からのご指摘があったので、追記しました)
今回の新型コロナの感染拡大を見ると人流や物流が世界的に広がっている現在は感染症がどのように入ってくるかわかりません。特に沖縄は観光客の入域が多いため水際の対策が必要です。また入ってしまったら地域で広がってしまいますが、その危機管理についてもまだ沖縄県では各課の連携が取れていないと感じます。感染症は人畜共通であるために沖縄県の中でもいくつかの部局にまたがった対応が必要です。農林水産部畜産課、保健医療部ワクチン・検査推進課・衛生薬務課、環境部自然保護課などが挙げられます。
沖縄県の振興ということを考えた時に、特に亜熱帯気候であるこの沖縄にアメリカ のCDC(疾病管理予防センター)のような機関の設置を求め、沖縄が感染症の対応の最先端をいくことが、日本の国益に資するものになるのではないかとも思います。そしてそこで働く知の集合が県内を始めとする子どもたち学習水準の目標となり所得水準を高めていくことにも繋がるのではないかと考えられます。
今後も感染症は新たなものが発見される可能性もありますので、行政だけではなく、我々各個人としても正確な情報の確保をしていかなければならないと思います。
※令和4年5月23日バイデン米大統領来日した際、日本に米疾病対策センター(CDC)の出先機関を設立する方針を表明しました。(日本経済新聞より)