特別支援教育について

障害者の権利に関する条約に基づく「インクルーシブ教育システム」の理念の実現に向け、子どもたちが障害のあるなしに関係なく可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を行い、障害のある子の自立と社会参加を見据え、通常の学級、通級、特別支援学級、特別支援学校と多様な学びの場があります。

沖縄県の小中高校の児童生徒数は平成20年度203,071人から令和元年度194,854 人と減少傾向にあります。こうした中、特別支援学校及び特別支援学級の児童生徒数は全国同様に増加している状況にあります。

特別支援学校の児童生徒数は、平成20年度1,833人から、令和元年度の2,388人と 11年間に555人で約30%の増加率となっています。その中でも、知的障害特別支援学校における児童生徒数は、平成20年度1,278人から、令和元年度の1,929人と11 年間に634人で約50%の増加率となっています。また、市町村小中学校に設置されている、知的障害特別支援学級に在籍する児童生徒は平成20年度の972人から、令和元年度には2,726名と著しく増加しています。本県においては中学校の特別支援学級を卒業した生徒の進路先の一つが特別支援学校の高等部への進学となっており、特別支援教育に対する保護者の理解と合わせて、特別支援学校の生徒増の一つの 要因として考えられます。

沖縄県内には視覚障害、聴覚障害に特化した盲学校、ろう学校を含め知的、肢体不自由、病弱などに対応するために16の特別支援学校が設置をされています。来年度には那覇市古波蔵に「那覇みらい特別支援学校」が新しく設けられ、現在工事が進んでいます。

このように教育支援ができる学校が増えることについては子どもたちだけではなく、保護者としても環境の整備がなされるということは非常に好ましいことであると思います。

一方、報道にも取り上げられていましたが、県内で本年度、重度の知的障がいがある生徒が真和志高校(那覇市)に新設された「ゆい教室」の新入生として島尻特別支援学校(八重瀬町)に学籍を置きつつ真和志高に通うことになりました。

これまでの環境では障がい児に職員がかかりきりとなり、周囲の児童生徒にとって不利益が生じる恐れもありました。また特別支援学校の教諭は基本的に「特別支援学校教諭免許」を所有しています。普通学校において教育するのであれば、同免許を持つ人材確保も行わなければなりません。教員にとって負担もあるのではないかとの話を聞いたこともあります。方針と予算がついたことは障がい児にとって垣根のない学習環境をつくる一環としての取り組みとしては画期的なものであると思います。

我が子が特別支援学校に通うことに抵抗のある保護者もいらっしゃいますが、将来的な子どもの自立を念頭においた場合には専門的にケアができる環境を考えることも重要ですし、社会の中での生活を想像すると、普通校において周りの児童生徒との交流を持つことに重きを置く方もいるかと思います。現在は交流や共同学習事業などの充実も図られていますが、さらにそれぞれの良いところを取り入れることができる柔軟な仕組みができないものか思案が必要だと思います。

参考ページ

文科省の特別支援教育の現状

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/002.htm

県立特別支援学校編成整備計画の基本方向(案) (令和4年度~令和 13 年度)

https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/iken/r2/documents/02snsdraftplan.pdf

県立那覇みらい支援学校 開校準備室便り

https://www.pref.okinawa.jp/edu/kenritsu/nahamirai_junbi/junbisitu_tayori.html

【おすすめ図書】 「自立自尊であれ」OXメンバー

 2006年から2014年までの8年間沖縄県知事を務めた

仲井眞弘多氏が沖縄振興に対してどのようなことをなしてきたのかを周りの方々が聞き取りしたことなどが書かれています。

復帰50年を迎えようとしている沖縄振興特別措置法、沖縄振興計画がどのようになっていくのかの正念場でありますが、現県政の動きと比較のために、今、読むべき本であるともいます。

「よしとよ文庫」に置いてますので、お手にとっていただければと思います。