夜間中学校とは

これまでに何度か「夜間中学校」について本会議での一般質問や委員会で取り上げてきました。きっかけは那覇市の上里議員からの相談でした。公立の夜間中学校を各都道府県で一つはつくるようにとの国からの働きかけがあるが、沖縄県では進んでいないので那覇市と沖縄県の両議会から話を進めていこうという内容でした。夜間中学校は12都府県に36校が設置されています。(写真参照  文科省ウエブサイト夜間中学の設置促進・充実について から)

それまでも、夜間中学校については報道で目にしたことがありましたが、たしかに沖縄には「公立」はなく、私立の学校に頼りきりです。珊瑚舎スコーレ(以前は那覇市与儀にありましたが、今は南城市佐敷にあります)という学校がその役割を担っています。

夜間中学校とは沖縄戦終結の前後に学齢期を迎え、混乱と貧困のため学校に通うことができなかった義務教育未修了者はかなりの数にのぼるものと言われていますが、実態はつかめていません。さまざまな理由から憲法で保障されている学ぶ権利を保障されなかった方々です。学齢期を過ぎ、それぞれの形で生活しながら現在も向学心をもち続け、学ぶ場を求めている方々が多くいらっしゃると聞いております。珊瑚舎スコーレのウェブサイトからの転載)

戦後の義務教育未修了者も高齢になってきていますので、沖縄県では義務教育未修了者(戦中戦後混乱期)学習支援事業ということで、対象者への支援事業を行っています。

義務教育未修了者(戦中戦後混乱期)学習支援事業を取り上げたYahoo!ニュース「私は、ずっと無学だった」沖縄のオバアが通う学び舎
2015/12/24(木) 12:02 配信より以下転載

2010年の国勢調査によると、小中学校に在籍したことがない、または小学校を卒業していない「未就学者」の割合は、全国では約0.1%。それに対して沖縄は6倍の0.6%で、その値の高さは全国で1位となっている。
戦中戦後の混乱期に義務教育を受けることができなかった人数は、沖縄県の調査によると、県内で約1600人。その多くは、小学校の教育、読み書きを学ぶ機会すら失ったままの人たちだ。3年前、そんな人々のための「学びの場所」が沖縄市にできた。
教室には「勉強をしたい」というオジイ、オバアたちが通っている。

一部抜粋しましたが、ぜひニュースのサイトも全文見ていただきたいです。

全国的に現在の夜間中学校は戦後の義務教育未修了者のみならず、不登校児童が通う※1フリースクール的な要素を持つことや※2学び直しなどの多様な学びの提供をしています。

※1フリースクールとは、何らかの理由から学校に行くことができない、行かない、行きたくても行けない……という子どもたちが、小学校・中学校・高校の代わりに過ごす場所です。不登校やひきこもりをはじめ、軽度の発達障害、身体障害、知的障害などの事情を抱えるたくさんの子どもたちを受け入れ、学びの場を提供しています。(不登校サポートナビより)

学び直しの必要性は国としても重要視し始めています。日本経済新聞 2021年5月8日 10:30 高校教科書に足し算や九九 「学び直し」ニーズ支えるには

※2「3×8=」「36+42=」……。来春から主に高校1年生が使う「数学Ⅰ」のある教科書には、2桁同士の足し算や引き算、九九といった演習問題が並ぶ。さまざまな事情で基礎学力が身に付かないまま高校に進学した生徒のために編集され、文部科学省の検定に合格。学習指導要領にも記載された「学び直し」のニーズの高まりに応えたものだ。

とあり、沖縄県でも2022年度から中退者を減らすために県立嘉手納高校に「キャリアアップコース(仮称)」、石川高校に2年生からの「基礎系統」コースを新たに設け、義務教育段階の学び直しを図ることになっています。(琉球新報2021年10月29日 07:00参照)基礎学力の不足が不登校やその後の退学にも関わるということで、高校に入学後の学び直しも対症療法的には良いと思います。しかし、本来であれば義務教育機関がその責任を果たすべきであると思います。

夜間中学校はある意味昼間の学校で習得できなかった事案を補うための場にもなりうるということです。また、通う生徒の年齢層や立場などもまちまちなことから、基礎学力の定着に向けて通いやすいのではないかと思います。
そして今は海外から 日本へ入国し生活するが増え来日したは良いが、日本語がまだ十分でなく困っている層もいる。その方々は社会に溶け込むことができないために同国の人で集団をつくってしまう。日本の社会風習などを理解せぬままに活動すると治安の悪化にも繋がる恐れがあるとも聞きます。このような方々が日本語と基礎的な教育を受ける場所も必要ではないでしょうか。多くの方が夜間中学校での学びを得ることにより多様性のある社会になるのではないかと思います。

今回の令和4年2月定例会に会派の代表質問でも取り上げていただきました。玉城知事の公約にも掲げられていますが、その取り組み段階は3段階の中で一番低い「着手」(次は推進中、完了の順)となっており、まだ調査という状況です。

現在の状況は調査が進んでいる那覇市と沖縄県でどちらが主体となって設置するのか、那覇市以外にも作るのか?というところです。とは言え戦後の義務教育未修了者も高齢になってきており、また前述の通り未修了者としての支援対象の年齢以外でも学びが必要な方々は多くいますので、これは民間だけに丸投げせずに、公的な整備が早急に必要であると考え今後の議会の場でも設置を要求していきます。

【活動報告】

令和4年2月28日(月)17時ころから(前の質問者にもよりますが)沖縄県議会2月定例議会の一般質問に立ちます。

1.新型コロナウイルス感染拡大による経済的影響と今後の方針について伺う。

2.首里城の再建と周辺の整備について伺う。

3.児童・高齢者・障がい・更生保護などを複合的に受ける福祉施設、また商業的な付加施設を伴う形態の施設が全国的にも増えてきているが、沖縄県内の状況と今後の取り組みの方向性を伺う。

4.本年1月の新たな振興計画(案)にある【持続可能な海洋共生社会の構築】の中にも「ブルーエコノミーを先導する地域として、豊かな海洋資源を活用した新たな産業の創出や、総合的に海洋政策を推進することが課題」とあるが、令和4年度予算において海洋調査・開発の支援拠点形成に向けた取り組みの推進、および海洋政策の総合的推進においてどのような事業を予定しているのか伺う。

5.県内で「歩行者利便増進道路制度」いわゆる「ほこみち」制度は民業の力を活用して賑わいの創出また行政コストの低減化にもつながると思うが、現状と沖縄県として今後に向けての方針を伺う。

6.我が党の代表質問に関連して

(1)里親解除通知した養育里親から起こされた訴訟の件について。

(2)病院事業局長人事、副知事、部長職人事について。