見た目はでかいが、内情は…沖縄県令和4(2022)年度一般会計当初予算について

 2月15日から3月30日まで令和6年第1回沖縄県議会が開催されました。審議事項として条例案などもありますが、この2月からの議会は「予算議会」と言われておりますので、予算の審議が主となります。審議された令和4年度沖縄県当初予算案の一部を参考に私なりに説明していきたいと思います。

 今回の予算は8606億円と過去最高の金額です。その中身はコロナ対策の観光予算(377億円)や医療(240億円)の予算などが600億円ほど計上されております。しかしそれを抜いても過去よりも大きな金額です。理由とし ては県税の増があったようです。うち県税の伸びは17.4%で200億以上です。これは観光業が低迷する反面で金融業などは伸びているということです。加えて国庫支出金も増額となっています。

しかし、一括交付金という沖縄県独自で活用できる予算は創設から11年目となりますが、過去最低の762億円(最大1759億円2014年度)と比べると1000億円近く減額となっています。

グラフは琉球新報の2021年12月23日記事「沖縄振興予算は2680億円、330億円の減 一括交付金は219億円減 政府方針」の写真がわかりやすく使わせていただいています。

 加えて、投資的経費という予算額が毎年さがっていることは非常に問題だと考えています。

「投資的経費とは、その経費の支出の効果が単年度また短期的に終わらず、固定的な資本の形成に向けられるもので、地方自治体の予算科目では、普通建設事業(補助事業と単独事業に分けられ、国の直轄事業負担金を含む)・災害復旧事業・失業対策事業を指すものとされている」(地方財政情報館より

つまり、ここ数年は道路や学校などの公共施設などへの予算が大きく落ち込んでいるということになります。

これまでも国の工事はある程度の予算金額があり、県や市町村の事業は予算が少なくなかなか進まない状況にあることは課題として取り上げられています。今回の当初予算を見ると表面の金額ではその金額に満足するかもしれませんが、今後の予算収入と支出を考えると大きな問題になるのではと思います。

しかし反面、沖縄県は県債(県の借金)の起債(借金をすること)が少ないという点も併せて資料に掲載されていました。残高も減に推移しております。

この10年間で最低の385億円(平成25年は699億円)の起債。残高は平成25年の6652億円に比べ5708億円とマイナス942億円となっています。

将来負担比率(地方公共団体の借入金(地方債)など現在抱えている負債の大きさを、その地方公共団体の財政規模に対する割合で表したものです)についても他の都道府県と比べ小さいということで、まだ財政的には余裕があると言われています。国としては他の都道府県は必要なものは起債してでも作っているのに、沖縄県はその取り組みが見られないということもあり、国からの予算の縮減もそれが一因となっているという話もあります。確かに将来の子どもたちに対しての借金は少ないほうが良いとは思いますが、今まさに新型コロナウイルスの感染拡大により厳しい沖縄県において観光という柱の回復の見込みが立たないところ、公共事業を行うことで県内にお金を回していくことも大事ではないかと思います。

また、R3年度に新型コロナ対策に活用したこともあり、財政調整基金という貯金や減債基金という昨年度に比べてかなりの目減り(333億円)をしていることもありますので、単純に予算額が増えたということだけを見ると良いことのように見えますが、私は本年度予算の内情は厳しいものであると考えます。

予算というものは我々市民県民生活に直結しますので、今回のニュースレター以外にもBlogや直接お話することのできる勉強会や街頭活動において、少しずつですが広めて行きたいと考えております。

※グラフ写真などは琉球新報を参考にしたグラフ以外は沖縄県議会配布資料から