里親について

沖縄県の養育里親さんに0歳から5歳まで預けれられていた里子が急に里親解除をされて子どもが一時保護されているという案件が報道されました。署名も集められているようです。

「里子の一時保護先、元里親に」 原告夫婦がネットで署名募る

私の所属する文教厚生委員会においても、子どもの権利を大切にして欲しいという趣旨の陳情が上がっています。

社会福祉審議会の審査もなく進めてしまった県の姿勢に対して批判の声が上がっています。しかし先日開催された部会からのコメントにおいても子どもが中心でなく、大人の理屈、大人の都合ではないかと感じてしまいます。

里親さんについて、少し触れてみたいと思います。

まず、根拠となる児童福祉法、その一条では子どもの権利と福祉について記載されています。そして二十七条の三項に置いて里親さんの記載があります。

「児童福祉法 第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」

「第二十七条の三 児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること。」

厚労省サイトから)里親制度は、さまざまな事情で家族と離れて暮らす子どもを、自分の家庭に迎え入れ、温かい愛情と正しい理解を持って養育する制度です。

公益財団法人全国里親会サイトから)なぜ家庭的養護が施設養護よりも優先されるのでしょう?幼い乳児や児童には、特定の大人との関係が必要です。これがないと愛着障害を起こすからです。子どもは安全なベースがあって、初めて外の世界への興味を持って自我が芽生え成長することができるのです。愛着障害のまま生育すると、自信を持てず、コミュニケーション能力が劣り、大人になっても就職ができない、反社会的な行動をとるなどのリスクが高くなるといわれています。児童にとっては、実親の代わりに深い愛情を持って育ててくれる親代わりの里親が必要なのです。

全国的に令和元年時点で13,485人の里親登録がなされています。実際に預けられているのは5,832人(小規模住居型児童養育事業=ファミリーホーム含むと7,492人)となっています。

昭和20〜30年代当初は戦争の影響もあり親を亡くした子どもたちも多く、里親登録16,000人、委託児童も9,000人を超えていましたが、昭和60年代には里親登録8,659人、委託児童3,322人と減少していましたが、それから比べると周囲の理解協力も進み、非常に増えてきているのが現状です。

ネットを検索していたら、興味深い専門学校の10年前の卒業レポートがありました。

里親制度創設期の成長と衰退はなぜ起こったのか-戦後の社会福祉基礎構造の完成がもたらしたもの-2012/10/29
上智社会福祉専門学校 社会福祉士・児童指導員科 天農 秀樹

最近では元厚生労働大臣の塩崎彰久さんが里親登録をしたということもニュースになっていました。今回の養育里親解除の事案も併せて、里親の存在がクローズアップされたことはある意味良かったかと思います。

私も現在2児の親として子育てをしていますが、あと6〜7年もすれば手を離れることになりますので、その後は里親としての登録も考えてみたいと思っています。