北の国から その1(北方領土について)

沖縄県では領土領海の話をするとよく話題に挙がるのが「尖閣諸島」についてです。尖閣諸島が領土編入された翌1896年(明治29年)にはアホウドリの羽毛採取事業と開拓がなされ、その後には鰹節工場もあったようです。尖閣諸島について歴史など詳しくは内閣府の尖閣諸島研究・解説サイトをご覧になってみてください。現在はしばしば中国の海警局の船が排他的経済水域や領海を侵犯してくると報道がなされています(海上保安庁HP尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処

一方、県内では報道などではあまり触れられることのない「北方領土」について北海道では行くところどころで目にしました。北方4島とは北から択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島のことです。日本で1番大きな島は択捉島、次が国後島、そして沖縄本島、佐渡島と続きます。歯舞群島を行政区として所管する根室市では納沙布岬から貝殻島までの距離は3.7Kmと非常に近い場所にあります。ちなみに泊港から渡嘉敷島まではおよそ30Kmです。

根室市の副市長や議長とのお話をする機会もありました。4島合計で3,124世帯、合計17,291人の方々が1945年日ソ中立条約を破り、ポツダム宣言受諾後に敗戦を明確にした後に侵略続けてきたソ連により強制的に退去させられました。

1951年のサンフランシスコ平和条約でも日本は千島列島と樺太南部は放棄しましたが、北方4島は放棄した中に含まれておりません。現在も北方4島ではロシアによる不法占拠が続いており、この領土問題が存在するため、戦後70年以上経った今なお、日本とロシアの間では平和条約が締結されないままとなっています。(外務省HP日本の領土をめぐる情勢 北方領土

ポツダム宣言はその前のカイロ宣言の領土不拡大の原則を引き継いでいるため、国際法上不法占拠であるということで、日本は返還するように求めています。島民1世は すでに平均年齢が80代ということで返還は急がれるものです。

北方4島の周辺は漁獲が豊富な漁場となっているために、毎年ロシアとの漁業交渉がなされています。ちょうど私が北海道に入った直前の4月21日には貝殻島の周辺での昆布漁が妥結し、翌日には大きく報道されていました(NHK北海道NEWSWEB4月22日)が、この報道内容も沖縄県ではなかなか知らされることはありません。

 しかし、我が国固有の領土である北方4島の周辺での漁業をするために、なぜロシアとの交渉が必要なのか?第1管区海上保安本部でお話を伺いましたが、ロシアが不法な実行支配を続けているため、漁民が周辺での漁をした際には拿捕して船員を逮捕する、船を没収する、などが現に行われており、今後も可能性が高いためです。実行支配がなされるということはこのようなことなのです。万が一、尖閣諸島が同様になった場合、八重山の漁民も拿捕される可能性があります。

2020年現在、北方4島合計で18,000人が住んでいると言われていますが、沖縄本島と同じくらいの大きさの国後島には8,600人程度のロシア人が住んでいると記述されていました。(沖縄本島が約135万人)非常に広大な土地であると言えます。返還がなされた場合には領土、領海、排他的経済水域と非常に日本の漁業や農業に関して大きな領域が戻ってきます。

また、日本には他に竹島(島根県)が韓国との領土問題があると言われています(竹島に関する研究・解説サイト)が、これはまた別の機会に。

ちなみに尖閣諸島には領土問題は「ない」日本固有の領土であるということになっています。(内閣官房 領土・主権対策企画調整室 国際社会の法と秩序を尊重する日本の対応