236,368本(無電柱化について)

236,368本、これは2017年調べの沖縄県内の電柱の数です(NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク調べ ちなみに平成30年度の国土交通省調べでは日本全国の電柱本数は3592万本)

県民6人に1本の割合で立ってます。我々の生活に欠かすことのできない電気を運ぶために大事な役割を担っています。

しかし、その電柱も災害時には我々の安全を脅かすこともあります。

写真は沖縄県のサイトからですが、宮古島を襲った台風で倒れた電柱が道路を塞いでいる状況です。救急車や避難する際の通行を阻むことになります。

景観の面でも非常にスッキリとするので観光地なども率先して無電柱化に取り組む必要があると思います。参考までに首里の道路の現状と無電柱にしてみた写真をいくつか並べてみます。

かなりの違いがあると思いますがいかがでしょうか?

加えて電柱を設置する主な場所は歩道、または路側帯となります。

子どもたちが電柱を避けて影から飛び出してしまうことや、車椅子で通るとすれ違うことができない道路もあります。

こちらの写真も国交省のサイトからです。

日本は国際的にも電線地中化が遅れていると言われています(図は国交省サイト欧米やアジアの主要都市と日本の無電柱化の現状 から)

ロンドンやパリ、香港の100%もすごいのですが、何よりも東京で8%、大阪で6%!2017年の調査なのですがまだまだ遅れていることは否めません。道路の管理の方法などが異なること、素材が異なること、日本の戦後復興を急ぎ行なった要因などはあるにせよ、冒頭で挙げた安全性と景観を考えたときには早期に取り組む必要があると考えます。

ちなみに沖縄県の無電柱化率は平成29年度末時点で1.6%72.7キロとなっております。(沖縄県無電柱化推進計画より)

県庁の付近、国際通りや、那覇新都心の一部、またモノレール沿線なども無電柱化されているところが見受けられます。

手法もいくつかあります。(図は沖縄県無電柱化推進計画 より)

電線共同溝方式
電線共同溝の整備等に関する特別措置法に 基づき、道路管理者が電線共同溝を整備し、電 線管理者が電線、地上機器を整備する方式であ る。沿線の各戸へは地下から電力線や通信線を 引き込む仕組みとなっている。沖縄県内でこれ までに実施された無電柱化の整備手法は電線 共同溝方式がほとんど。

要請者負担方式
要請者である道路管理者が原則として全額負担し、無電柱化を進める手法。沖縄県では 平成 24 年度より沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)を活用し、同方式で無電柱化を 実施しており、今後も同方式を用いて無電柱化を進める。

 

裏配線、軒下配線
電線類の地中化によらない無電柱化の手法として、裏配線や軒下配線があり、地域住民 との合意形成を図った上で実施を検討する。
裏 配 線:無電柱化したい主要な通りの裏通り等に電線類を配置し、主要な通りの沿道の
需要家への引込みを裏通りから行い、主要な通りを無電柱化する手法。
軒下配線:無電柱化したい通りの脇道に電柱を配置し、そこから引き込む電線を沿道家屋の軒下または軒先に配置する手法。

平成28年に無電柱化推進法が成立し、国は昨年度から令和2年度までの3年間で1400キロの道路での着工を目標に掲げています。

しかし、1キロ当たり約5.3億円と経費がかかり、うち自治体など道路管理者が負担するのは1.7億円。

また、電力会社も負担が増えるということで、それぞれの懐具合が厳しい地方はなかなか進まない状況です。

電柱設置の場合は1キロ数千万円で済むということなので、予算のことを考えると致し方ないと感じます。

さらに工期も設計から完成まで約7年かかるという試算もあります。

そして電柱だと目視での点検が可能なのに対し地中設備では目視確認ができないことで、故障の際は地面を掘り起こす作などコストや維持費が電気料金などに跳ね返る可能性もあります。(参考SankeiBiz なぜ日本で「無電柱化」進まないのか 東京23区でも8%)

まずは計画をしっかりと立てて景観上必要な場所を優先し、進めていくことは必要です。

国交省から令和3年度の新たな「無電柱化推進計画」を策定というページがありました。

そこには

1 新設電柱を増やさない(特に緊急輸送道路は電柱を減少させる) 毎年電柱が7万本増加している現状を踏まえ、関係者が連携して 新設電柱の増加要因の調査・分析を行い、削減に向けた対応方策 を令和3年度中にとりまとめ

2 徹底したコスト縮減を推進する
令和7年度までに平均して約2割のコスト縮減に取り組む

3 事業の更なるスピードアップを図る
無電柱化の完了まで7年を要している現状に対し、発注の工夫など 事業のスピードアップを図り事業期間半減(平均4年)に取り組む

ということで、先程あげた課題の解消に取り組むようです。

また、令和3年度から5年間で約4,000kmの新たな無電柱化に着手ということで、この先の取り組みもしっかりと確認していきたいと思います。

しかし、令和4年の沖縄県当初予算を見たときには前年より社会資本(道路や公共施設など)に対する投資的経費が16%も下がっています!

沖縄県の公共工事は経済の大きな柱の一つと言われていますが、特に一括交付金の中でハード交付金と言われる「沖縄公共投資交付金」の大幅な減額(平成26年度最大932億円、令和4年度368億円と6割も減)が響いております。

全体的な沖縄関連予算も2684億円と、これまで安倍ー仲井眞の話し合いで約束され確保してきた3000億円台から大きく下がりました。

我々自民党沖縄県連として制度の確保に全力を尽くしてきました。沖縄公庫、一括交付金、高補助率、減税措置など、それぞれの存続について汗をかき要請してきました。

しかし、こと予算については効果なども含めてしっかりと県知事が国に説明し確保する必要があるということを議会の場を含め訴えてきました。

予算がなければなかなか物事が進まないということで、これから先の沖縄県のコロナ後の経済的な復興や我々の生活の安定・安全という点で非常に気になるところです。