那覇市に住んでいるとなかなか農地や畜産に関わる場所を見かけることがありません。ゆえに那覇市議会議員のころは農業政策についてはほとんど取り組みをすることもありませんでした。沖縄県議会議員となってからは那覇市以外6町村と選挙区も広がりました。他に県内には農業も盛んな地域もありますので、農政についての要請や陳情などを受けることも以前に比べると増えてきました。そこで気になるのは農家の生活についてや沖縄県として食料自給率はどのようになっているか?ということでした。 日 本としても食料自給率はカロリーベースで37%生産額ベースで67%という状況ですので、全体的に低いと言えますが、特に新型コロナウイルス感染拡大の際の経済活動の不安やロシアのウクライナ侵攻に関して経済安全保障という点が注目される中、食料の自給についても沖縄県で考える必要があるのではないかと思います。
さて、そこで現在の沖縄県の食料自給率を農水省のホームページで見てみたところ令和元年時点の概算値で34%でありました。全国で38%ということですので、平均値に近い数値ですが、北海道は216秋田が205、山形が145ということです。その他にも自給率の高い都道府県はいわゆる米どころが多い感じを受けます。ちなみに東京に至っては0ということです。しかし、これはカロリーベースということですので、沖縄県の生産品目の(出荷額)上位10には昭和55年よりずっとサトウキビがランクインしています。(その他には肉用牛や豚、などもありますが、葉たばこや菊、マンゴーなどの果物もあります)なので実際にお米や小麦などの主食やその他野菜についての生産もありますが、まだ少ないのが現状です。
その状況に加え、沖縄県は観光客を招き入れる地域でありますので、その観光客に対しての食の提供も行わなければなりません。紅いもタルトなどのお菓子を生産したお土産もありますので、その原材料も作る必要があります。沖縄県は広い平地 が少ないことも県土の特徴ではありますが、地域によっては大規模な農場を作ることも可能です。実際に宮古島では「そば」の栽培を進めています。本島内でも大宜味村でも栽培がなされていますが、収穫して加工されたそば粉を使い県内外のセブンイレブンで、もりそば・ざるそば等を製造販売しています。また伊江島の小麦 栽培では県産小麦をつかったパンの製造やオリオンビールによるビールの商品化もなされています。前述の紅芋はイムゲーというお酒にも活用されていますので、農産物からの加工品にはまだまだ可能性があります。
沖縄県での農業従事者の人口も減っている、また高齢化が進んでいるというデータもありますが、この新型コロナウイルス禍において、これまでの会社づとめから農家への転向をしているという方も増えているという話題もありました。現在の主力であるサトウキビについては政府からの補助もあり、安定した部分もありますが、今後の制度の変更、すなわち補助金の減額などがあった場合は収支バランスが取れないのではという声もありますので、今後県内の食料自給についてもしっかりと考えた上での県内農政に取り組まなければならないと考えます。