若年妊娠が多い件について

先週のニユースレターで沖縄県の人口減少問題について触れましたが、それでも全国的に見ると子どもが多い地域であるという印象があります。実際に数字を追ってみました。

2021年の全国の合計特殊出生率は1.30です。(令和3年厚労省人口動態統計月報年計の概況)最も高いのは沖縄県(1.80)、 次は鹿児島(1.65)です。ちなみに最も低い のは、東京都(1.13)です。

《合計特殊出生率》は「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当します。「特殊」な期間の「合計」ということです。

※女性が生涯に生む子どもの数が変わっていない状況で、晩婚化が進み、出産年齢が高く変化している場合、カウントされない空白期間があるので合計特殊出生率が一時的に過少に推計される可能性があります。

ちなみに《普通出生率》は、人口千人当たりの出生数を表します。この数値は、出生に直接関係しない男性、子ども、高齢者も含まれ、年齢構成比を考慮しないため、時系列比較や国際比較には使用できません。

人口を維持するのに必要な合計特殊出生率は2.06と言われていますので、今後は沖縄県も人口が減少する流れにあることは間違いありません。子どもを産み育てる環境づくりは大事なのですが、沖縄県には若年妊娠出産が多いという課題もあります。

若年妊娠出産をと言われるのは10代のことです。若年出産の全国の割合がおおよそ1.3%前後で推移している中、沖縄県は2.5%と2倍ほどになっています。

 ちなみに決して若年妊娠の全てに問題があるということではありません。もちろん若くして子どもを授かり、しっかりと子育てをしているご家族もいます。しかし10代または20代の早い時期では所得も低く子どもを育てるための経済基盤が整っていないケースが多いのが現実としてあります。子どもを育てるには両親だけではなく、多くの方々の支援も必要だと思います。が、しかし家族から理解や支援を得られず、環境が出産や子育てに適していないということもしばしばあるようです。県内には若年妊産婦の出産支援をする施設も数カ所ありますが、まだ十分な数ではありません。本来であれば行政がてを差し伸べるべき対象ですが、行政の運営ではなく民間運営ということで、資金的にも厳しい状況にあります。※「まりやハウス風の家」「おにわ」などがあります

加えて若年で子どもを抱えたまま離婚をするケースも多いと聞いています。そのような女性は一人で子育てをしながら生活をしますので、一般的な就労も難しいということで、夜間の飲食業や風俗業に身を投じることもあり、そこで新たな課題問題も発生します。琉球大学の上間教授の講演についての記事から以下。

上間さんは、風俗業界で働く若者や若年出産した女性を調査して見えた課題を説明した。業界には若年出産の女性が多く、初めての仕事が風俗業だったこと、複雑な家族関係や暴力被害など重複した困難が見られるが、「苦し過ぎてその苦しさを語れないという苦しみもある」と話す。(沖縄タイムス2022年11月8日記事

県内では母子寡婦福祉連合会という団体が主催し、シングルマザーの経済基盤を安定を図る事業を展開しています。(琉球新報2022年5月21日記事

ビックデータの解析やそこから得られる情報により、企業へのコンサルティングなどをしていくデータアナリストの育成を企業と連携して行っています。自宅でも就業ができ、子育ての時間も取れる、なおかつ所得も得られる仕事として提案されています。通信環境が整い、ITを活用できる時代だからこそのだと思います。シングルマザーや若年出産をした方々の所得向上にも繋がり、生活も整って子育ての環境の改善にも結びつくのではないかと思われます。その他にも様々な手段で生活の安定を図っていかねばなりません。

しかし、それ以前に子どものころから日頃の生活に関するお金の教育や仕事の教育を合わせて、自己の人生をどのように積み上げていくのかを考え、将来に向けてビジョンを持つようにキャリア教育を行うことが根本的な解決策の一つとして必要ではないかと考えていますので、今後も推進に向けての提案をしてまいります。