南北大東村へ行ってきました。

 

11月19日(土)から21日(月)と南北大東村へ視察へ行ってまいりました。那覇空港から飛行機で約1時間ほど340Km離れた場所にあります。二つの島は 9Kmほどしか離れていませんが、その間には1500~2000mと言われる深い海があります。

まいにちおきなわサイトから

火山として誕生し、その後サンゴ礁が積み重なってできた島で、砂浜もなく、 外海の深い青が広がっています。沖縄県の中でもリゾートというイメージの無い島です。位置的に台風の通り道となっており波の高い時期には船もなかなか出ないので島の物品が品薄になり高値になるとニュースでもよく取り上げられています。

琉球新報 レタス1玉1350円

主な産業は農業(北大東島観光ナビより特産品・名物)、すなわちサトウキビです。ジャガイモやカボチャなどの生産をしている農家もいますが、台風の影響や水不足などを考えるとキビが主体になるとのことでした。南北大東島にはそれぞれに分蜜糖の製糖工場があります。およそ北400ha、南1200haわれるキビ畑があります。そこから製糖し、国内で製造される砂糖の原材料として島から輸出しています。ちなみにサトウキビには生産交付金という補助があります。トンあたり16,860円です。そこに糖度によって変動する売価と合わせて農家の収入となります。生産交付金についてはまたの機会にします。

船が出ない時には、島から物を運ぶこともままならないこともありますので、足のはやい農作物などは輸送に向いていないため、製糖は島の経済を支える非常に太い柱です。農業と製糖は両輪と言われています。しかし、製糖工場が老朽化しており、建て替えに苦慮しているということでした。北大東製糖ウェブサイト大東糖業Facebookページ

県内にある含蜜糖(黒糖)工場は一括交付金による建替えを行いましたが、分蜜糖工場は適応されておらず、各地ともに建て替えに苦慮しているようです。

特に遠隔離島での工事の資材は輸送運賃が加わるために本島と比べると非常に高くなり生コンでは3倍という価格になるようです。これは企業はもちろんのこと、一般の住宅に対しても同様で、島の出身者が戻りたくても住宅事情が悪いことがその障壁となります。

そのために、コンテナハウスなどで社宅を用意している会社もあります。

公(村)営住宅に住み始めた時は家賃が安い、その後年齢を重ねて、所得が増えるに従い、家賃が高騰する。しかし、自分で家を建てようにも坪単価120万円を超える建物は正直なところ厳しいので、建てることができず、子どもたちが島に戻る環境を作ることができないという話でした。島の生活、人口を守るにはそのあたりを考えてほしいという要望が強くありました。

確かに南北大東村は沖縄県の中でも高所得の自治体になります。北大東468万円、南大東405万円、那覇市281万円、県平均240万円です。しかし、それは公務員×農家、建設業×農家、農家×漁師など収入を得るための努力をしていると感じました。

加えて高校生から島の外に出るため、医療を受けるお年寄りは本島の病院に行くケースが多く、労働していない人口の母数が少なくなることも要因に挙げられます。北大東村の就業率は85.9%、直近の数字はありませんでしたが、南大東でも70%はゆうに超えているであろうと考えられます。ちなみに那覇市は48.4%です。 

15の春を迎えると高校のない小規模離島は親は各々の島で子は本島での2重生活、また県外への進学が重なると3重生活を余儀なくされます。月の出費が2倍〜3倍に増えることに加えて移動費もかかります。必死になって稼いでもより多くの支出があるというのが現状となっています。

「離島の振興なくして沖縄の振興発展なし」「サトウキビは島を守り、島は国土を守る」などの言葉が議会でも取り上げられることがありますが、沖縄県内各所の離島を巡りながら沖縄の振興発展とは何か?ということを考えて取り組みをしなければならないと改めて感じた南北大東島の視察でした。