ベトナム北部と沖縄の新しい繋がりを探して ハノイ・ニンビン省
11月6日から9日にかけて、沖縄県とベトナム北部との連携の可能性を探るため、ハノイ市とニンビン省を訪れました。(初日と最終日は移動のみです、結構ハード 汗)今回の視察では、観光・企業・人材の三つの分野で、沖縄とベトナムが想像以上に共通点を持ち、協力の余地が大きいことを実感しました。
スタートはJETRO hanoiハノイ事務所で、ベトナム経済の現状について説明を受けましたが、人口ピラミッド(ベトナム2024)を見ると、若い世代が多かった時期はすでに終わりを迎えつつあり、国として次の成長段階へ移ろうとしていることがわかります。こうした背景の中、政府は産業の柱を強化するため、VinGroup のような大規模企業集団(コングロマリット)を複数育 てていく方針を打ち出しています。そして、人口対策として少子化対策を始めていることもわかりました。
VinGroup(Wiki)とは、ベトナム最大級の企業グループで、住宅開発から商業施設、病院、大学、農業、電気自動車(VinFast)まで幅広い事業を展開しています。ある意味で「国の成長の縮図」のような存在です。ベトナムの国民生活に関わる多様な分野を一体的に押し上げてきました。
政府がこうした企業集団を20ほど育成しようとしているという話を聞くと、まだ発展途上段階であり、産業の広がり方が日本とは異なるダイナミックさを感じます。
べトナム政府は、大気汚染の深刻化に対応するためという理由で、2026年7月1日以降、ハノイ市の環状1号線内でガソリンを燃料とする二輪車(バイク・モペット)の通行を全面禁止する方針を打ち出しました。都市部における交通手段の電動化への切り替えを促す狙いがある。次第に対象地域などを拡大していく予定だそうです。現地の二輪市場で8割のシェアを持つホンダは大半がガソリン二輪のため戦略見直しを迫られていますが、これもVinGroupに追い風になります。
また、海外で技能を身につけた若い人たちに、帰国後に事業を立ち上げてもらう「人材循環」の仕組みづくりにも取り組んでいるとのことでした。人口構造の変化に向き合いながら、新しい産業と働き方を作ろうとしている姿勢が印象的でした。
沖縄県企業である琉球ガラス村グループのベトナムグラス・クラフトプロダクション社の工場を訪れました。スタッフの皆さんが丁寧に作業している様子を拝見し、沖縄の技術が海外で根づいていることを強く感じました。
その後、ニンビン省人民評議会との意見交換を行い、そこでは三つのテーマを中心に議論してきました。
写真はninh binh TV という現地の報道が入っていましたので、そこからいただいてます。


一つ目は、進出企業への継続支援の要望です。ベトナムグラス・クラフトプロダクション社のような製造業の他にも環境関連や二つ目以降にも関連しますが、サービス産業の展開をしてくれるところも期待しているようです。
二つ目は、世界遺産を生かした観光交流の強化です。今後、ニンビン省において国際空港や大きな港湾の整備がされることに加え、ニンビン省はチャンアンの風景地区(写真)という沖縄と同様にユネスコの歴史と自然という二つの世界遺産を持ち、沖縄と非常に近い魅力を有しています。船は2000艘もあるとのことで、船頭さんは女性も多く、たくましいな!と感じます。


那覇空港とベトナム北部空港の直行便が実現すれば、約3時間半で行き来できるため、世界遺産を巡る新たな観光周遊ルートが期待できます。なお、今回は台北経由で片道フライト5時間、乗り換え2時間と合計7時間かかりました。
三つ目は、人材交流です。ニンビン省は教育水準が高く、日本への技能実習生や特定技能者の派遣も多い地域です。一方の沖縄では、観光やIT分野で人材需要が高まっています。双方にとってメリットのある連携ができると感じます。
今回の視察を通して、沖縄とハノイやニンビン省は新しい連携の可能性を見出すことができました。観光、企業、人材の三つの分野で、今後さらに具体的な協力を進めることが重要だと感じています。今回の訪問が、その第一歩になればと思います。
